國學院大学博物館(東京都渋谷区・渋谷駅)
早慶、上理ICU、GMARCHときて成成明学獨國武がよく言われる関東の大学ランキング。この17校のうち8校は攻略できたものの、他は平日のみの開館だったりでなかなか厳しい。というわけで週末も開館している大学博物館の一つである國學院大学に一年ぶりに来訪。渋谷駅から徒歩15分くらいの少し遠い場所にある。
通常ほとんど見学者がいない大学博物館。それはおそらく学外の者でも基本的に見学できるという認識が一般的にないことや、そもそも在学生ですら博物館の存在を知らないことなどが大きな理由なのだろうけれど、大学博物館の中でも早稲田や明治と並ぶレベルの展示室を持っていることで密かに人気のある國學院はさすが、何度か訪れている中でも必ず数人の見学者が見受けられる。
國學院大学は神道について教育している国内でも稀有な大学で、キリスト教や仏教が由来の大学は珍しくないけれど神道となると驚くことに全国に2校しかない。神社に勤める神主になるためには東の國學院が西の皇學館で学ぶことがデフォルトとなっている。そんな神道と関わりのある大学ならではで、常設展では日本古来の宗教である神道について全国で行われている祭祀の詳細や、神道の宗派などが細かく紹介されている。
大学の成り立ちは古く、最初は神職養成と研究のために教育機関として作られた皇典講究所からなっており、初代総裁としても皇室の有栖川宮幟仁親王が務めているという格式の高さが窺える。私立大学としては慶應義塾、早稲田、明治、日本、中央、法政、同志社と並ぶ最も古い私立大学の一つである。皇室の影響が特に強かった明治時代に作られていることが関連しているのかもしれない、常設展に展示されている机や食器などがとにかく豪華である。
企画展では「近代工芸の精華」と題して有栖川宮家や高松宮家の名品と、金子皓彦による寄木細工コレクションを紹介している。常設展のエリアにある宮家の名品はとにかく工芸品としての価値が高いことがわかる上、小型の菓子器ボンボニエールが目を引く。お菓子を入れるためだけの小箱であるボンボニエールにここまで精巧な意匠を施すのかというレベルで、さすが宮家といったところだろうか。企画展エリアにある寄木細工コレクションも息を呑むくらいの美しさ。工芸のことを詳しくわからなくても、とんでもない技術が使われていることが目に見えてわかるレベル。レターボックスや文箱といった小型のものから、飾棚やライティングビューローといった大型のものまで。部屋に一台は置いてみたいレベル。大き過ぎて部屋が埋まる。
膨大な考古学コレクションでも知られている。樋口清之による土器や瓦、石棒などの膨大なコレクション。早稲田の會津八一に匹敵する質量である。専門の研究者ということももちろんあるけれど、彼も會津八一と同様にコレクションを元に博物館開設の必要性を訴えて実現した人物である。なんといっても大量に集められた石棒の展示が目を見張る。意図的としか考えようがない展示方法に思わず敬礼してしまう。とにかくコレクションの質と量が半端じゃない博物館の一つ。トイレはウォシュレット式で個室が四つもあるというのも好ましいところである。
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