アンスティチュ・フランセ東京(東京都新宿区・飯田橋駅)
フランス政府公認のフランス語学校であり文化センターとしての役割を持っているアンスティチュ・フランセ。全国に六ヶ所ほどある施設の中で今回おとずれたのはアンスティチュ・フランセ東京。外堀通りを市ヶ谷方面へ進んだ途中にある逢坂という坂の入口あたりに聳え立っている印象的な建物で、かつて東京日仏学院として使用されていた。
こちらの建物はル・コルビュジェの弟子でもあり国際文化会館や横浜のシルクセンター、神奈川県立近代美術館など建築でも知られている坂倉準三が設計している。その特徴的な建築の中で特に注目されているのが塔の中を貫いている螺旋階段。
こちらの階段は二層式になっており、上り階段の裏側に下り階段が入っているという不思議な構造をしている。二つの階段が交わることなく螺旋を描いているため人がすれ違わずに上り下りできる仕組みになっている。日本ではいくつかの寺にある「さざえ堂」が有名だろうか。洋風の建築でこういった構造になっているのは非常に珍しい。
普段は語学生が通うためにある施設で、一般にも見学は可能なものの気軽に入ることはさすがに抵抗があるのだけれど、アンスティチュ・フランセ東京で一般でも観られる企画展が行われているということを知って来訪。1階のホールではエリー・オールドマン「終わりなき絵の壮大な物語」展が、隣接するリヴ・ドロワット(右岸という意味の展示室)ではリア・ジロー「エントロピーと光合成」展がそれぞれ開催されている他、2階のギャラリーでは日本人やフランス人アーティストによるポスター作品が展示されている。
トイレは洋式。訪れた日はちょうど施設そのものでイベントが開催されており、アートとの刺激的な対話を通して哲学にアプローチする「哲学の夕べ」というタイトルでパフォーマンスや上映・講演プログラムが組まれている。さながら文化祭のようなものだろうか。一般の人も多く訪れており比較的あまり抵抗がなく、当初の目的だった坂倉準三の螺旋階段を観られたのはラッキーだったかもしれない。