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佐藤美術館(東京都新宿区・国立競技場駅)

世の中に溢れているアーティストの卵である美術学生。才能があり世に出ようと思っても、金銭面の問題などで自由な創作活動のできないこれら美術学生を支援する目的で、第一不動産グループの佐藤行雄氏によって作られた佐藤国際文化育英財団。その財団の運営する美術館が佐藤美術館である。

佐藤美術館の開館のきっかけは30年以上も前に遡る。1990年に大阪の鶴見緑地で開催された「国際・花と緑の博覧会」の会場にあった「花と緑・日本画美術館」で展示された日本画家たちによる花と緑・自然をテーマにした新作が佐藤美術館のコレクションの基礎となり、それ以降も花と緑・自然をテーマにする現代日本画の収集を行っている。また奨学生の作品の中からも優秀作の買い上げや作品の収集を続けている。

ロビーには彫刻家の二田原英二の作品がある

今回おとずれた際に開催されていた企画展は、日本画家として活躍する阿部千鶴の展覧会。親の転勤で地方を転々とした幼少期の体験が原風景となって作品に反映されている。慣れない土地で不安の中、ひっそりと野原に咲いている草花に触れることで心が安らいだ自身の記憶が作品の中にも温かさとなって現れている。Flower Paletteというタイトルが付けられた今回の企画展、展示会場に溢れるパレットのように鮮やかな色彩の中で、一つ一つの作品にも花があふれ、吸い込まれそうな世界を構築している。

幻想的かつ原風景のような作品

ビルの2階にある受付から、徐々に3階、4階、5階へと上がって行く順路になっている。過去の作品から2022年に作られた作品まで色とりどり時代ごとに変化する作風を感じ取ることもできる。微睡みの中で描かれる幻想的な絵柄は、まるで絵本の中に入り込んだような気持ちになる不思議な感覚。各フロアには中央にソファもあるのでじっくりと腰を据えて眺めていたい。トイレは2階がウォシュレット式で他は全て洋式。

落ち着いて見られる美術館


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