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六義園(東京都文京区・駒込駅)〜東洋文庫ミュージアム(同上 東洋文庫名品展)

・六義園

1年間で2回目の訪問となる六義園。前回はそぼ降る雨の中だったので、突き抜けるような青空でなかなか心地が良い。その分、訪れる人は多くなっているものの、それでも密集するほどではない。

冬とはいえ枯葉だらけというわけでもなく、ちょうど紅葉が綺麗な時期にあたる。植物にも造詣が深いわけではないので、その美しい色をした葉が椛なのか楓なのかすらわからないのだけれど、まあ、とにかく周りの木々とのコントラストとも相まって目の保養になる。

入口を入ってすぐにあるしだれ桜はもちろん冬という季節柄、咲いていないけれど、桜の咲く時期には夜になるとライトアップがされるそうで、その時期には地元の人や映える写真を撮りたい人たちであふれて密集するほどになるという。

快晴で陽の光はとても眩しいのだけれど、風が冷たくて中央の池(大泉水)の周辺を歩くと吹きさらしの風にやられてあまり長い間は立っていられない。

六義園(りくぎえん)は江戸幕府5代将軍の徳川綱吉より信任を得ていた柳沢吉保によってつくられた庭園(聞いたところによると現地視察はほとんどなく図をもとに色々と指示を出したそう)で、ところどころに和歌を意図した作庭がなされているのが印象的である。ちなみに六義園はそのあとに岩崎家が購入して別邸となっている。そう、東京のミュージアムや景勝地に触れる限り岩崎家から逃れることはできないのである。

奥の方には銀杏の黄色い落葉の絨毯がとても美しい情景を醸し出している。1本の銀杏からこれだけの落葉があるのだとしたら大したものである。もしかしたら園内の他の場所からも落葉を集めているのだろうか。なんて無粋なこともよぎる。

枝に雪が積もって折れたりしないよう木全体を傘状に包んで積雪を防ぐ雪吊りがところどころで始まっていて、冬の予感を感じさせる。風が冷たい。トイレは和式と洋式。


・東洋文庫ミュージアム(東洋文庫名品展)

六義園から徒歩5分圏内で行ける東洋文庫ミュージアム。1年間で3回も訪れている。おなじみ岩崎家によって集められたコレクションが展示されている。

階段を上って安定の映えスポットであるモリソン書庫の圧倒的な美しさに飲み込まれつつ、モリソン書庫の一部の展示を見てみると、ここで梅原末治の著書が展示されている。さすが東洋学の学者である。ここで細川家と岩崎家という支援者同士を結ぶ糸の正体を(勝手に)見たのであった。ちなみに細川家16代目の細川護立が理事長を務めた時期もある。

モリソン書庫の裏側へ回った第一展示室では中国の書籍が並んでいる。「日出づる処」というフレーズで知られる「隋書倭国伝」もある。マルコ・ポーロの「東方見聞録」も展示されている。教科書で目にした資料の現物が展示されているとうのはなんとも感慨深い。

東洋文庫ミュージアムで最も好きなのは書庫の裏側にある回顧の路で、床面のクレバス・エフェクトという合わせ鏡の効果を使った演出が美しい。奈落の底を思わせるような深さが実際は10センチほどの高さしかなく、どういう構造なのだろうか。マジックミラーを使っているのかもしれない。特許を取得しているらしい。

第二展示室ではしれっと国宝の「文選集注」が展示されていたり、これまた教科書でお馴染みの「解体新書(ターヘル・アナトミア)」が展示されている。外国の目線から描いた中世の日本地図「世界の鏡」など、東洋文庫コレクションの奥深さを感じられる。

階段を降りて時の回廊を進み、その先にあるレストラン「オリエント・カフェ」で一休み。岩崎家おなじみの小岩井農場チーズケーキなど味わえる。いくつか美術関係の本もあるのでゆったり読みながら休憩、なんていうのも良い。ミュージアムもカフェもウォシュレット式なのは言わずもがな。ちなみに庭に出ることもでき、秋吉怜による「羅針盤」が展示されている。


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