![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/119264895/rectangle_large_type_2_2b4bc7878d9dd74f10a4bdfa8b2777bf.jpeg?width=1200)
一之江名主屋敷&一之江抹香亭(東京都江戸川区・瑞江駅&一之江駅)
・一之江名主屋敷(東京都江戸川区・瑞江駅)
都内に点在する古民家のうち、江戸川区にあり一般公開されているのが一之江名主屋敷である。一之江という名称ではあるけれど、最寄駅としては一之江駅よりも隣の瑞江駅の方が利便性は良い。江戸時代の初頭から一之江新田の名主を務めた田島家の居宅として今も残されている。
名主屋敷という名称からわかるように、一之江の一帯を治めていた名主である田島家は、かつて堀田姓を名乗る武士で、関ヶ原の戦いで豊臣側として参戦した後に関東へ下り、田島氏のもとに身を寄せて改名し、当地の開発にあたった人物だという。敷地の周囲は堀が巡らされ、屋敷の中は土間などの一般的な古民家の間取りに加えて、マスと呼ばれる穀物の収納庫があったり、一般公開はしていないものの梯子で上り下りする2階があったりと、一般的な古民家に比べて造りが豪華である。武家や寺社にしか許されなかった長屋門もある。
![](https://assets.st-note.com/img/1697636463425-6qGia0KLJD.jpg?width=1200)
特徴的なのは住居エリアと公務エリアとが一つ屋根の下に隣接して存在していること。公務エリアの方は来客も多いことから縁つきの畳が敷かれており、白い壁や襖などがあるのも質素な作りの住居エリアとは明確に分かれている。住居エリアのイタノマには仏壇や神棚が置かれている。この仏壇や神棚は可動式になっており、隣接する長男の部屋ホトケマへ移動させることでイタノマを広げたりできるようになっているのも面白い。
![](https://assets.st-note.com/img/1697636555358-sDcALoUDB8.jpg?width=1200)
庭には竹林や田島家の神木であるスダジイ、祀っていた稲荷などもあるほか、堀を越えれば展示室が別に備えてあり、ここで一之江一帯の歴史を紹介したり、昔の道具なんかを展示している。トイレは展示室の中にあり洋式。
![](https://assets.st-note.com/img/1697636606089-lcIydnSjBf.jpg?width=1200)
・一之江抹香亭(東京都江戸川区・一之江駅)
親水公園という名称を聞いたことがあるだろうか。自然に近い水辺を楽しむことができる機能を持った公園のことである。国内にはこうした親水公園がいくつもあるのだけれど、江戸川区は国内で最初に親水公園を作った自治体なのだという。区内にはいくつもの親水公園が点在しており、その中の一つである一之江境川親水公園の中にあるのが一之江抹香亭である。
江戸時代から抹香を作り抹香屋とまで呼ばれていた田澤家の邸宅を整備したというこの一之江抹香亭、園内の庭には樹齢750年を越えるタブノキがある。かつては抹香を作る際にこのタブノキの葉を乾燥させて石臼で挽いて抹香に加えていたのだという。屋内にはちょっとした展示室があり、江戸川区が発祥の親水公園の歴史を紹介している。トイレは男女共有ウォシュレット式。園内では園芸植物展が時折り開催されており、通りがかりにふらっと立ち寄りやすい場所になっている。
![](https://assets.st-note.com/img/1697636677818-AnHdQNbzcW.jpg?width=1200)