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東京ステーションギャラリー(東京都千代田区・東京駅 藤戸竹喜展)

アイヌの作家である藤戸竹喜は木彫りの熊を中心にして、多数の木彫り作品を残した。代表作の熊の木彫りの数々の精緻さはさることながら、仏像や人物像なども素晴らしい出来栄え。木から切り出したとは思えないくらいに精巧な造りをなしている。絶妙なバランスで狩られる鹿の木彫りや、毛並みまで本物であるかのように描く動物たち、また一本の木に群がる多数の熊の群れなど、これらを製図とか一切なしで彫って行くという神業の数々に圧倒される。

https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202107_fujito.html

なんといっても熊の作品が最も多いのだけれど、おそらくこれもまた肉付きや骨の位置、それを覆う体毛の方向、多彩な表情(山の中で遭遇したら動けなくなるような眼光のものも)、きめ細かに配置された歯など、関心させられる表現の目白押しで観入ってしまう。会場には割と多めの見学者がいる。小さな子供を連れた家族連れも目立った。

基本的に一本の木から切り出しする作品が多い中で、パーツごとに作って後から組み合わせる、という作品もいくつか残っており、そちらは木彫りとは到底おもえない精巧さで、この人の観察眼はどうなっているのだろう、と驚かされてしまう。

一方で名声を得ながらも、アイヌの歴史を目の当たりにしてきた竹喜によるアイヌの人々の木像なども展示されている。
アイヌに伝わる『狼と少年の物語』の連作もその一端なのかもしれない。

体が動かなくなるまで木彫りを続けた竹喜。その亡くなる前に妻に向けたかのように造られた『語り合う熊』がとても印象的だった。トイレはウォシュレット式。ギャラリーは東京駅舎の中にあるため、途中で階段でフロア移動する際には、建設当時の遺構を間近で見ることができる。

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