東京復活大聖堂ニコライ堂(東京都千代田区・御茶ノ水駅)
ニコライ堂の名称で知られる東京復活大聖堂は、聖ニコライによって1891年にジョサイア・コンドルの設計で建てられた教会が元となっている。関東大震災で倒れた鐘楼の煽りを受けて崩壊し、建築家の岡田信一郎が指揮して復興したものが現在のニコライ堂で、国の重要文化財として指定されている国内でも有数のビザンチン様式の建物である。
ニコライ堂が司っているのは正教会。カトリックやプロテスタントと共にキリスト教を代表する三派の一つで、初代教会からの教えを継承している教派で、派生した両派に比べるとその歴史は最も古いと言われている。エルサレムからロシアを経て日本に伝えられた日本正教会の建物である。天井まで吹き抜けになっており、ドーム型の天井が圧巻。至る所にイコンが並んでおり、正教会のシンボルでもある八端十字の十字架も並んでいる。
正面の衝立の向こう側は厨房になっており、礼拝に来た信徒たちへ振る舞う血と肉(パンと葡萄酒)をここで作っている。また礼拝堂の中央は一段高くなっており、床には強さのシンボルである鷲のデザインが施されている。礼拝時にはここを舞台として、聖書に準えたエピソードを披露する場となる。信徒は預言者に関わるそのエピソードを知るに及んで、聖書に描かれている物語の追体験をする。
イコンとはキリストや聖人、聖書の場面などを描いた平面画のことで、よく見られる宗教画とは実は異なるもの。同じ人物やエピソードを描いている絵だとしても、イコンは絵そのものが聖書を表しているのに対し、宗教画はあくまで人物やエピソードが主体となっている。そのため宗教画にはイコンの意図と異なるものが多く存在するという。
こちらの教会は礼拝のために現在も使用されており、基本的に一般で拝観できるのは土曜日と日曜日の限られた時間のみ。日曜日などいくつかの日には実際の礼拝が行われており、正教会の教えを理解する一助となるかもしれない。トイレは教会内にはないものの、敷地内の建物にある。洋式。
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