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六義園(東京都文京区・駒込駅)〜東洋文庫ミュージアム(同上)〜旧古河庭園&大谷美術館(東京都北区・上中里駅)

そぼ降る雨の早朝の駒込は人通りも少ない。所用がある昼までの間、庭園とミュージアムを回るという強行スケジュールを思い立ち、体力を計算に入れずに実行するこの気概。何が駆り立てるのか。あくなき探求心といってもいいのかもしれない。嘘。単純にぐるっとパスの消化。目的と手段の逆転である。


・六義園

りくぎえん、と読む。『古今和歌集』の冒序文に書かれた和歌の六つの基調が名称の由来だそうである。


柳沢家という大名が紀州の景観をイメージして作庭し、その後に明治時代に岩崎家が買い取った。そう、東京を牛耳っていることでおなじみの岩崎家である。
ここ数日で気温がぐっと下がり、秋の気配がする園内、けれど蝉がまだ元気に鳴いている。こうでなくっちゃ。

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入り口を入れば目の前に大きな枝垂桜が見える。満開の時期は圧巻だろうな。
中央に大きな池があり、それをぐるりと回るような形で散歩する。水面が穏やかで幾つか掛かる渡月橋が映える。人がほとんどいなくて快適。写真も撮り放題。どんなアングルでも人が入らないのはストレスが少なくて良い。

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ただ回遊するというのも一つの楽しみ方だし、一つ一つの景観にきちんと説明文が添えられているので見学者はその説明を念頭に入れながら景色を眺めることもできる。そういう意味で見学者ライクな施設といえる。
道が曲がりくねっていたり分岐が多いので迷いそうになるけれど、要所要所で地図が提示されているのも有難い。パンフレットに地図は乗っているけれど、こういう雨の日はなかなか開けないですから。

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鬱蒼とした山道も多く、蜘蛛の巣が至る所にある。これに雨の滴がかかってとてもきらびやか。奥の茶屋ではお抹茶もいただけますのよ。うふふ。トイレは和式と洋式。裏門(染井門)の方にあるトイレは簡易トイレ。裏門は基本的にずっと閉まっているのでトイレの使用者も少ない様子。

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・東洋文庫ミュージアム

六義園からすぐ近くにある東洋文庫。こちらのメインと言えばモリソン書庫。壁を埋め尽くす圧巻の本棚である。

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北京在住のモリソン博士から岩崎家が買い取った2万4千冊にも上る本が収められている。ここでも岩崎家が登場である。ある意味、こうしてミュージアムを見学できるのも岩崎家の尽力によるものが大きいのかもしれない。
角川ミュージアムの引き合いに出されることが多くなったことで、都内で見られる映える景観を見にくる人が増えている。かくいう自分も2回目になる。もう見学の仕方なんて勝手知ったるものである。
入口を入ってすぐの1階は吹き抜けになっていて、すでに数人の見学者が展示を見ている。一緒になって見ていたら混雑が予想できたので、さっさと2階に上がってモリソン書庫に対面する。すでに女子〜ズが書庫の前で記念撮影をしている。

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特集は江戸・東京について岩崎家所有の古書や古地図が展示される。古地図。この夏に何回も見ていて既視感が半端ない。江戸である。頭の中でお侍ちゃんの江戸・江戸〜のフレーズが駆け巡る。2階展示室の見学者はゼロ。素晴らしい。

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順路を進むとモリソン書庫の裏手に回る。ここの通路もまた圧巻。薄暗い通路に浮かび上がる、クレバスと呼ばれる合わせ鏡による効果に吸い込まれそうになる。完全に独占である。ありがとう岩崎家。その限りない財力でこんな素敵なミュージアムを作ってくれるとは。
順路を行くとまた書庫の前へと出る。女子〜ズがまだ記念撮影をしていた。良い良い。目の前に心を動かす衝動が生まれるなら君たちはそれをするべきだ。ゲーテも言っていた。たぶん。

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1階に降りレストランへ続く中庭の道を歩く。壁に一つ一つ色々な言語のことわざがある。まさに知の宝庫。展示物が決して多いわけではないけれど、映える・学べる・味わえるを割とライトに楽しめる。トイレもウォシュレット式ですし。


・旧古河庭園(大谷美術館)

旧古河庭園は駒込駅の北側、むしろ駅で言うと上中里駅の近くにある。六義園と東洋文庫は駒込駅の南側にあるので駒込駅まで引き返しそのまま逆方向へ突っ切って歩くことにする。この周辺は勾配のアップダウンが激しい。その上、駒込〜六義園よりも距離がある。六義園からだと20分くらい歩かなくてはならいので正直ハシゴはオススメできない。六義園と同じく事前予約が必要なのだけれど、見学者が少ないからなのか不要とのこと。ふむ。

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工業系の仕事をしていればイヤってほどおなじみの古河グループの古河家による邸宅。ここは日本庭園と洋風庭園(バラ園)と、中央にある洋館こと大谷美術館がある。洋館と洋風庭園は岩崎家とズブズブでおなじみジョサイア・コンドルの設計による。日本庭園は作庭家のパイオニア小川治兵衛による。

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大谷美術館はホテルニューオータニなどの大谷家が古河家から購入したもの。常設では美術品などの展示はなく室内(1階のみ可)を見学する。定員が決まっており、バラのシーズンになると見学者でいっぱいになる模様。今回は他に見物客ゼロという高待遇。撮影はできないもののその内装の一端が見られます。トイレは男女共用で洋式。


洋風庭園のバラは季節が違っていて咲いていなかったものの一つ一つに名札がある。イングリッド・バーグマンなる名前のバラを発見。昨日ちょうど映画を観たのでタイムリーだった。

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階段を下っていけば日本庭園がある。枯滝や心字池などがある。そして庭の至る所に点在するいろんな種類の巨大な灯籠。もはや灯籠祭りである。夜になったらさぞかし美しかったんでしょうなあ。トイレは洋式。屋外なのであまりオススメできませんが。
春と秋にはバラの鑑賞、あとコンサートなんかもやっていたりするので興味があればぜひ。ちなみに館内で軽食を楽しめます。おほほ。あと結婚式もあげられるそうです。ブルジョワジーですね。

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