文化学園服飾博物館&SHINBI GALLERY(東京都新宿区・新宿駅)
・文化学園服飾博物館(東京都新宿区・新宿駅)
文化学園といえば服飾専門の学校として古くからある学校である。2023年には創立から100年を迎える学校で、校舎のある新宿キャンパスの隣にある文化学園服飾博物館もまた1979年の開設以来、170回を超える企画展を開催してきた歴史のある博物館で、服飾に関する展示をおこなっていることで知られている。
今回は日本服飾の美と題した企画展を実施。文化学園がこれまでに収集してきたさまざまな地域の服飾資料の中から日本に関するコレクションに焦点を当てて展示している。1階では宮廷装束と小袖を中心としており、賀陽宮家や久邇宮家など皇族の旧蔵品が多くを占めている。これらの中でも織物について詳細な説明がある。奈良時代には唐物の影響を受けていた柄が平安時代には日本風にアレンジされた有職織物が用いられるようになった。有職織物の代表的な柄は八藤丸、浮線稜、雲鶴、雲立涌、亀甲繋、三重襷がある。また有職織物の一種として地紋のある綾地に別の色糸を用いて縫取織で模様をあらわす二重織物があるという。
階段を上った2階ではまずは小袖をメインとした展示。いわゆる着物の古い呼び方で、平安時代中期に公家階級の大袖装束の下着や庶民の日常着が基と考えられいる。その平面的な形態から模様と色彩に美しさが反映され、身分や時代の好みを反映して色々な模様がアレンジされている。今回は日本を代表する財閥の一つであった三井家の旧蔵品が江戸時代末期から明治時代初期にかけての名品として紹介されている。中でも気になったのは杜若の模様をした小袖。伊勢物語の東下りの段の一節を画題とした八橋図が施されるなど絵画のような彩りである。展示品の中には和宮のものもあって幅広さに驚く。
2階の残り半分のスペースではまず武家装飾について紹介されている。武家装束は下級武士や庶民の服飾だった直垂が武家の服飾として位置付けられ、大紋や素襖も現れてくる。江戸時代になると裃も礼服として用いられ、麻でできた無地や型染めがメインの簡素な服が増える反動で戦場で用いられる陣羽織や鎧兜は奇抜なものが好まれるようになった。こちらで展示されているのは蜂須賀家、伊予加藤家、福井松平家、宇和島伊達家といった江戸時代中期以降の太平の世のものである。
最後は能装束について。江戸時代に幕府の儀式で用いられる式楽とされた能は将軍や大名の財力を背景に作られたため隆盛を極めたという。こちらでは江戸時代から明治、大正、昭和にかけて近江彦根の井伊家の旧蔵品がまとまって紹介されている。桜田門外ノ変で知られる井伊直弼や孫の直忠が特に好んで収集したと言われている。
博物館の中にある椅子も特徴的な形をしている。1階ロビーや階段を上った2階ロビーにある椅子はデザイナーのジョージ・ネルソンによるマシュマロ・チェアというもの。トイレはウォシュレット式。
・SHINBI GALLERY(東京都新宿区・初台駅)
新宿美術学院という美術の予備校1階にあるギャラリー。あいちトリエンナーレなどで作品を提供した佐藤克久の個展「とりもなおさず」を開催。