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宇フォーラム美術館(東京都国立市・国立駅)
国立駅から一橋通りをひたすら南下する。真っ直ぐで勾配もないので歩きやすい街である国立は、中心である一橋通り沿いに一橋大学あたりまでは多くの店が立ち並んでおり、大学を越えたあたりから途端に店がなくなり住宅街の趣へと変貌する。道を一本でも横に入れば途端に住宅街だらけで店は一切ないという、完全に住宅と学校に特化した街だという印象。宇フォーラム美術館はそんな住宅街の中にポツンとある美術館である。
はっきり言ってホームページを見た限りではどんな美術館なのか想像もつかなかった。名前が宇フォーラムである。謎すぎる。少し怪しげな匂いのする、いや個人的には大好物のミュージアムなのではないかと覚悟、いや期待を胸に膨らませながら訪れた美術館は、クンストフェアラインというドイツ由来の美術啓蒙組織による会員制の美術館で、抽象画の黎明期を担った坂田一男が開催したAGOに参画した二紀和太留と平松輝子の三人を創設者としている。
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クンストフェアラインは会員による運営で成り立っている組織で、出典作家も会員な他、収蔵品の展示も無料で入館できるという制度をとっているため、一般的な市民ギャラリーとは異なり館長が企画した展覧会を実施していたりもする。過去には俵屋宗達や尾形光琳の作品も展示していたりと、なかなか侮れない。
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展示室は1階と階段を上った2階にある。2階は天井が高く、巨大なインスタレーション作品なんかも展示可能なエリアになっている。住宅街の中にこんな美術館があったことに驚く。開館して20年ほど経っている意欲的な美術館である。トイレは個室ウォシュレット式。
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