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甦った嫌な授業の記憶

今日ふと、心の"どうでもいいBOX"に放り込まれていた記憶が少し甦った瞬間があった。
その話。



大学生の頃、『当事者主権』という授業があった。
少人数(10人くらい)で、上野千鶴子の著書『当事者主権』を読んでディスカッションするというゼミ形式の授業。
必修科目ではなかったし、そんなに人気のある授業でもなかった。
でも、自分で言うのもなんだけど当時私はとっても真面目に勉強する学生だったので、受けてみたのだった。

担当教員はH先生というふくよかな女性で、髪の毛がベリーショートの金髪だった。
髪が上に逆立つくらいの短髪。
イメージ、神取忍みたいな。(あくまでイメージね。笑)

授業は毎回指定されたページまで本を読んできて各自が考えたことを発言し、当事者主権とは何かを探究していくみたいな内容だった。
その授業に同じ学科のYくんという男の子がいたんだけど、毎回と言っていいほど著者である上野千鶴子の主張と真反対の意見を言っていた。
たとえば、CO2の削減のためには個人の努力が不可欠だという主張があったとして、Yくんは、「そんな個人レベルの努力なんてほとんど意味がない。だから自分は好きな車を好きなだけ乗ります」みたいなことを言う。
…いや、いいんやけど。
けど、それだけ言ったらこの授業何やねんってなるやん、みたいなね。笑

まぁ彼も当時19、20でそういう他と違うことを言うことで注目されたいみたいなところがもしかしたらあったのかもしれないし、なんかわからないけど、とにかくちょっと意固地なくらいに上野千鶴子とは違う意見を言っていた。
でもそれはそれで彼の意見だし、私は特にそれに反論したいとかも無かったのだけど。

…なのだけど。…ど!

H先生があるときからYくんが何か言うたびに、なぜか私を指名してくるようになった。
「次はあなたの意見を言いなさい」って。
実際、私はYくんとは違う意見を持ってることが多くて素直にそれを話していたんやけどね。
内心、話すの嫌やなぁって思っていた。
まるでYくんの意見を違うって言ってるみたいで。
でも先生に反抗することもできずなんだか微妙な雰囲気の中でYくんのそれとは違う自分の意見を言っていたのだけど…。

回を重ねるごとに、段々と先生が私の意見にさらに意見するようになってきて。
「違うでしょ!あなた、本当に自分の思ってること言いなさいよ!」とかって。
(いやいや、これが私の意見やし!)とか思いつつも、どうも先生は上野千鶴子の主張に寄せた意見をもっと私に強く主張しろと、そう言いたいんやなと。
その言い方がすごく高圧的で、そのときはそれが単純に怖くて、やむなく当時の私は少し主張を上野さんに寄せて言い直したりもした。
今思えばなんであんなことをと思っちゃうんやけど、当時はそうしないとその場にいられない気がしたからそうした。

でも、なんで私ばかりがこんなに目をつけられるのかわからないし、Yくんともちょっと気まずい雰囲気になるしで、授業に行くのが嫌になってきてしまって。
そのときの真面目だった私には珍しくその授業だけはサボるようになっていった。
そしたらあるときほかの友達から、「H先生からの伝言で、次は絶対に休まず授業に出るようにって」と聞かされて。
…こんなん言われたら震え上がるよね。
私、もしかして大学にいられなくなっちゃうのかもって。
これも今ならそんなことはまずありえないと言えるのだけど、当時は結構真剣に恐怖した。

で、胃がキリキリするのを感じながらまたその授業に出て。
そのときに先生から飛んできた第一声を今もはっきりと覚えている。
「あなた、どうして休んでたのよ。これから一度でも休んだら単位あげないわよ!!」

…ちょっと今これ書きながら思わず笑っちゃうんやけどね。
いや、なんでやねん!?って。笑
出てこいと脅された挙句、なんでこんなことまでわざわざ言われなあかんのよ⁈ですよ。
なんだけども、当時の私はその言葉に心臓の縮むかのような思いだった。

授業は進み、その日もまた、相も変わらずYくんが言った。
「民主主義イコール選挙でしょ。
多数の意見が採用されるのが民主主義。
少数者の意見を聞いて平等になんてしたらそれは社会主義、共産主義ですよね。
僕はそれには反対です!」

この発言、いろいろ衝撃的で忘れられんわ。
だってこの授業、仮にも『当事者主権』やからね。笑
さすがに場がシン…となったもん。
H先生の顔も苛立ちで歪んでいて。
そしてそんな先生と目があった瞬間、言われた。

「あなた思ってることがあるでしょう?言いなさい!」

……。

そのとき、私の中で何かが切れた。
そして言葉を発することをやめた。
「なんで黙るの!絶対にあなたには思うことがあるはずよ!早くそれを言いなさい!」って。
そうやって畳み掛けられても黙っていた。
もう本当に何にも言いたくないと思ったから。
なんでこの先生は私にだけ執拗に絡むのか、なぜ私にいつも何かを代弁させようとするのか。
その理由が私の中ではっきりとわかった瞬間だったから。

それまでは渋々応じてきたけど、今日のYくんの発言への反論を私にさせるのはさすがに卑怯やろと。
当事者主権ってそういうことなんですか?
当事者はいつだって理不尽や排除に対し、虐げられた者らしく悲痛な叫びを上げ続けなきゃいけない。
それこそが当事者主権なのだとしたらそんなもんいらんわ!
先生の心の中にこそ、当事者主権が必要なんじゃないですか?と。

…それは結局言えなかったのだけど。



この授業、結局その後どういう終わり方をしたのかははっきり覚えてなくて。
なんか気まずい雰囲気で、でもその後の数回はあまり指名されたりもせずに終わったような…。
単位もたしか取れてたし。
でももう二度と関わりたくない!って、H先生の存在とその授業丸ごと心の中の"どうでもいいBOX"に思いっきり放り込んだ。
二度と出てくるなぁぁ、エイィッッて。
(今日もこれからまた入れ直す!笑)


そんな遠い昔のなんてことないような話。
なんとなくしてみたくなったから言ってみた。
まぁ今も昔も変わらず、私という人間の存在は簡単にポイッと消し去られるようなちっぽけなものであることに変わりはないのだけど。



思いがけず長文になってしまったけど、書くのは一瞬だった!
思い出しイライラパワーの勢いすごい。笑
もしここまで読んでくれた人がいるなら、ありがとうと言いたい気分。


私は私のまんまでただ普通に生きたい。
何も強いられずに自由な心で。

負・け・な・い・ぞー!

笑。 


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