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たとえば猫がいる。

猫がいる暮らし、というのは猫ごとの性格があるにしても、往々にして可愛らしいレースのカーテンなんかかけられない。かけたカーテンも下の方が床についていると、そこでおしっこをされたり毛玉を吐かれたりして結局どうしようもなくなるから、カーテンの長さを床に触れないくらいの位置の長さにしたりする。
あるいはおしっこをされたり、毛玉を吐かれたりすること自体を覚悟と共に諦めて、その異臭と、もしかすると集まってしまうかもしれないコバエの対処と共に暮らす。

年老いていく、移り変わる彼らの体調と暮らす。

「いつのまにか部屋の隅にしていた粗相にうっかり気が付かなかったことにより腐ってしまった挙句、けれどもたまたまその場所に当たっていた直射日光が殺菌をしてくれて結果的に問題のなくなった、ただしその代わりにすっかり変色してささくれ立ってしまった」フローリングの床が、闘病の果てに死んだ猫を弔ったあとに取り残される。

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