日本がもつ文化的資産をどう活かすか?
MATCHAさんが公開してくれた日本デザインセンターの原研哉さんのプレゼンテーションが、含蓄のある素晴らしいものでした。
原さんは、「21世紀最大の産業は、高解像度の観光。世界の文化の素晴らしさをその場所に行って味わうという楽しみに目覚めた人類。グローバルの中で、ローカリティの考え方を求めて人々が動き回る『遊動の時代』はこれからも続いていく。」と主張されています。
これからのインバウンド観光の鍵の1つである富裕層は、日本の中の本当にバリューのある場所にいきたいと思って情報を集めているはずで、
その彼らにこたえられるものを、提供していくためにはどうすればよいか、今一度きちんと考えるべきだと改めて思わされました。
プレゼンテーションの中で、原さんの提示された問いかけで印象に残ったのは以下の3つです。
①日本人は日本をどう表現できるのか?という問いを投げかけていました。
単なるお国自慢でなく、日本人は日本で世界をどうもてなせるか?サブカルチャーだけでなく、ハイカルチャーも含んだ日本をきちんと知ってもらうことが大事。
日本人は、日本の工芸品の品質を自覚しているか
質の良いものを見分けられるか
その価値を説明できるか
②日本はバリューというものの価値の作り方を教わってきていない(価値の見立て)
バリューの根源がどこに眠っていて、どこに鉱脈があるのか。どうやって掘り出すのか?これを考えていくインテリジェンスがない限り、価値の創造はできない
③・GlobalとLocalは一対の概念として機能してきており、世界が広がっただけ、個別文化の重要性に着目すべき
ここでは、美意識 X テクノロジーの掛け合わせで、新しい価値が生まれてくる。「ものを作る時代」から、「価値をつくる時代」への転換を意識できているか?
最後に、具体の事例として、九州のTENKUU HOTELの話に触れたいと思います。
「日本の自然資源・環境を未来に向けた国際的な文脈に向けて、どういう風に磨いていったら価値を生み出すか」ということを考えた1つのモデルケースとして紹介されていました。
そこに泊まることが目的となるシチュエーションとしてのホテル。
移動のために一夜を過ごす場所ではなく、そこで時間を過ごすために訪れる目的地としてのホテル。
これはホテルに限らず、宿泊を提供するゲストハウスや民泊でも同じことがあてはまります。そこで過ごす時間をどれだけ価値あるものにできるのか?そういう意識をもって宿泊体験、それにともなうローカルツアーというものをプロデュースしていく人が増えていくことで、日本の価値の底上げになっていくのではないでしょうか。