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お肉が生焼け!目が見えない人はどうやって判断するのですか?

皆さん、こんにちは。奈良里紗@楽しく、カジュアルに、障害科学に関する情報発信をしております弱視難聴の研究者です。

さて、本日のご質問は視覚障害者のお肉の生焼けの判断方法です。

お肉、お魚、料理をするときに目が見えないと困ってしまうのが焼き加減。

よく料理をする全盲の人の場合は、菜箸でつついたかんじ、かおり、試食したときの触感で判断していることが多いようです。

ポイントは、日常的によく料理をしていることです。

なぜかというと、菜箸から伝わってくる感覚、焼き加減のにおい、触感は経験を積み重ねていく中で感覚的に理解できるようになっていくものだからです。

ですから、こどもであれば自立活動の時間で学習をした内容を、家庭で繰り返し練習することで習得できます。

中途失明の場合、リハビリとして調理の訓練があります。こちらも何度も繰り返し行うことができればよいのですが、リハビリのプログラムによっては単発的なものもあり、そうすると、なかなかできるようにはなりません。

さて、ずぼらで面倒くさがりの私。
料理は失敗すると、食材に申し訳ない気持ちでいっぱいになるので、できることなら失敗はしたくないもの。
もちろん、生焼けのものを食べて、おなかをこわすなんて失敗も避けたいですよね。

そこで、私はこれまでいろいろな方に料理に関する話について聞いた結果、たどりついたのがオーブンや電子レンジ、グリルなどを上手に活用して生焼けを防止する方法です。

目の見える人でも、ハンバーグを焼くときは、最後、菜箸をさして生焼けになっていないか確認しますよね。これが目が見えないとできない!

じゃあ、どうするか。

私は、ハンバーグをフライパンでやくとき、最後に蒸し焼きにします。
あるいは、油をおとすために、ハンバーグをフライパンからグリルにうつしてグリルで再度加熱します。
ホイール焼き、煮込みハンバーグなどにしてしまうと、生焼けのリスクをさげることができます。

オーブンを活用した料理は、時間をセットして焼くだけだし、生焼けの心配もほとんどないので安心・安全です。

電子レンジを使って、野菜の肉巻きを作ることもあります。ただ、これは、結構、肉の厚さや巻き方によって、生焼け状態になりやすいもの。電子レンジでの加熱時間を流すすると、お肉がかたくなってしまうことも。

こういうときは、逆に、電子レンジで加熱したものを最後、フライパンでかりっと焦げ目がつくまで焼いてしまうというのも1つの方法です。

そして、料理は一人ですべてできなくても大丈夫。

今は優秀な支援技術がたくさんあります。
Be my eyesというアプリを使えば、画面越しに日本中にいる目の見える人とつながって、生焼けかどうか見てもらうこともできます。

LINEで友達や家族に写真を送ってみてもらう、ビデオ通話でみてもらうことも簡単ですよね。

私は多他者依存モデルを推奨しており、目が見えないゆえに困ることがあるならば、それを複数の手段で解決できるようにしておくことが大切だと考えています。

1つの方法、あるいは、2つの方法しかわからないと、それがNGだったときに、「できない」ことになってしまいますからね。

ちなみに、最近の優秀な家電の力を過信しすぎないことも大切です。

我が家のグリルには、鶏肉を自動的に焼き上げてくれる機能がついています。赤外線センサーをつかって焼き上げてくれるので、生焼けの心配はないと思っていたのです。

ところが、焼きあがった鶏肉をきってみると、息子が
「ママ、まだ、中が赤いよ!」
と教えてくれました。

もし、このとき、気づかなかったら・・・いや、過去にも気づかず食べていたかもしれない・・・と思うとちょっと恐ろしいですよね。

生焼けにはどんな対策ができるのか、お料理が得意な人にこれからもいろいろと聞きながら、おいしく、楽しく、食事ができるよう、日々、研究を続けたいと思います。

この記事がよかった!という方は記事を購入していただけると嬉しいです。
今後の研究活動に活用させていただきます。

最後に、記事を購入してくださった方向けのおまけです。
視覚障害者の焼肉事情について、ご紹介したいと思います。

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