読む権利!いつになったら保障されるのか?
私は研究者なので複数の学会に所属している。
毎回届く学会誌を読むのは楽しみの一つだ。
だが、私にはそれが読めない形で届けられる。
学会誌のほとんどが紙媒体だからだ。
私はテキストデータになっているものでないと読むことが難しい弱視(ロービジョン)者だ。
唯一、視覚障害リハビリテーション協会が発行している視覚リハビリテーション研究という雑誌だけは、
紙媒体の雑誌とともに、テキストデータが同封されている。
これは本当にありがたい。
しかし、そもそも考えてみれば、読めないものを送ってくる学会側にも問題がある。
マラケシュ条約という条約では読書バリアフリーの実現に向けて様々なことが規定されている。
マラケシュ条約に批准してから英国では読書のバリアフリー化がとてつもないスピードで進んでいったという。
日本では?
確かに、読書バリアフリーに向けた動きはある。しかし、「変わった」という実感はまだない。
特殊教育に関する雑誌に対しては、複数の視覚障害者が毎年のように学会誌のテキストデータ希望を訴えている。
しかし、なかなか実現されない。
そこにはどういう問題があるのだろうか。
コスト?手間?著作権?
すでにできている学会があるのだから、しかも、障害分野の学会なのだから率先して読書バリアフリーを実現してほしい。
読むことのできない紙媒体の学会誌のために毎年学会費を支払っている私。
ポストに読めない学会誌が届くたびにため息がでる。
そして、これは誰にお願いして読んでもらおうか、あるいは、テキストデータにしてもらおうかと読むための努力をしなければならない。
私はただ届いた学会誌がよみたいだけ。
どんなエキサイティングな研究が行われているのか知りたいだけ。
読む権利が当たり前のように保障される日が訪れることを期待したい。