新たな目標に向かって動き出す一年
2019年5月、令和という新しい時代の幕開けとともに博士号を授与された私。
3年前のお正月は暖房のついていないつくばの研究室にこもり、ひたすら博論を書いていた。
博論をすでに書いた先輩からは、
「博論を出してから数年は研究する気が起きないよ」
といわれていた。
私の場合はちょっと違った。研究する意欲はあるものの、どっちの方向へ自分の船を進めたらよいのかわからず迷走していた。
ありがたいことに迷走の旅にでることを周囲が許してくれた。
そして、博士課程在学中にはできなかったことに挑戦させてもらった。
ニューヨーク、ワシントンDC、台湾、シアトル、英国と旅をして刺激を受けた。
ポスドクにも挑戦したし、ほかの色々な研究助成のプロジェクトにも関わらせてもらった。
書きたかった本も書いて出版の夢も叶えた。
そして、今。
ある程度、やりたかったことをやりつくすことができ、再び、スタートラインに立ち戻ったようなそんな気持ちがしている。
どこへ向かおうか迷走していた船が次の目的地を定めることができた。
次も長旅になりそうだ。
不安もあるし、実現できるかどうかもわからない。
でも、私という人間はできるかどうかわからないことに無性に魅力を感じてしまう。
目の前に壁があったら、その先に何があるのか見てみたくなってしまう。
でも、勇敢なわけでもない。
壁の先を見てみたいのに、そのためにしなくてはならない努力の量がわかっているがゆえに、
「やっぱり、やめておいたほうがいいのでは?」
「今のうちに引き返して無難な道を選んだほうがよいのでは?」
というささやきも聞こえてくる。
それでも、一度きりしかない人生、ここで挑戦しなくては後悔するにちがいないと自分を奮い立たせる。
ありがたいことに、私のこの壮大とも無謀ともいえる挑戦に対して
「すごくいいことだと思う」
「それは絶対に実現すべきだよ」
などと後押ししてくれる仲間がいる。
わりと周囲に流されやすい性格なので、周囲の仲間たちが
「そんな無謀なことはやめなよ」
とか
「母親なんだからそんなことするのはどうかと思うよ」
とか言われていたら諦めてしまったかもしれない。
だから、私がこの無謀な新たな夢を口にしたときに周囲の友人たちがそれを心から応援してくれることは本当にありがたい。
この挑戦を実行するためには、私にとって苦手なことを色々とクリアしていかなければならない。
果たして、どこまでできるかはわからない。
でも、友人のラボの先生が
「やめるのはいつでもできるし、できなくなってからやめても遅くないんじゃない」
と友人に対してしたというそのアドバイスが私の心にも刺さった。
できない言い訳を並べるのではなく、
どうしたらできるのか、そのために何をしたらよいのか、そして、それをやるにはどうしたら自分自身が楽しめるのか、そんなことを考えながら、新たな挑戦に挑んでみたいと思う。
数年後、この記事を読み返したときに、そんな気持ちのときもあったね、あなたは見事、その挑戦を成し遂げたわよ!といえる日が来るように、地道な努力を積み重ねていきたいと思う。
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