『親不孝介護』

親が認知症を発症し診断されたとき、この先の生活がどう変化していくのか、本人も家族も不安でいっぱいになるのではないだろうか。
何ができて何ができなくなるのか、その時期はいつなのか。家族はどうやって親も見守り、介護していったらいいのか。自宅でみるのか施設にいれるのか。施設にいれてしまったときの後悔、申し訳なさ。みんなが感じ通る道なのではないか。

『親不孝介護 距離を取るからうまくいく』山中浩之・川内潤著 はそんな私が抱いていた疑問、感情にこたえてくれた本だった。
長年父親と暮らしていた私だったが、「なんかおかしい」→「やっぱりおかしい」となる間、毎日の生活がたまらなくしんどくなっていっていた。特に私は車いすユーザーなので行動範囲は限られているが、対して父親は健脚でどこでも行ってしまう。いった先々でいろいろとやらかして迎えに行かないといけないことも何度かあった。
このままでは私、つぶれる・・・。
そして昨年2月にグループホームを併設した施設にいれた。
もちろん、ここには大きな葛藤があった。もうちょっと家でみれたんじゃないか。私はもうちょっと頑張れたんじゃないか。集団生活なんかしたことない父親に本当に申し訳ない、父親の自由な人生を奪ってしまったんじゃないだろうか・・・

日本人なら特に家族が面倒を最後まで見る風潮はいまだに強いだろう。
本書はそんな葛藤を吹っ飛ばしてくれた1冊だった。

親が穏やかに安心して暮らせること。これ以上でもこれ以下でもない。

ちなみに本書に書いてあった、施設の離職率の出し方。厚労省の「介護サービス情報公表システム」で調べられることがわかった。30%を超えるとやばい施設。ちなみに父親のグループホームは42.2%。ぎょぎょっ。