見出し画像

吉野と三輪さん

古代人の感じた神秘

吉野 宮滝遺跡など行ってきました。

宮滝というと、持統天皇が生涯31回も行幸した土地と言われ、あの壬申の乱の始まりの地と言われる場所です。

宮滝は別に滝があるわけではありません。

水の流れの早い様、打ち付けるように注がれるさまを「たぎつ」と呼んだことから宮滝と呼ばれるようになったそうです。

そこには豊かな水量の吉野川が流れています。


水への信仰、水の神が持つ「流す」「清める」思想。

そういったものに神秘性が感じられたようです。

今では視界を遮る木々が多くなり、かつて天皇たちが見た風景はわかりにくくなっていますが、この場所には「象山」(きさやま)という山もあります。

象山は円錐形の美しい山で、すべてを清める川と、このいでたちのよろしき山が、祭祀を行うにもふさわしい神名備(神仏の魂が宿る場所)と考えられ、慕われ、大切にされてきました。

おおいなる三輪山

ところでこの吉野の神名備、象山のそばに鎮座する神社に「桜木神社」があります。

こちらの御祭神は大国主命です。

大国主命とは、私達が住む地上を豊かな国にしたという神様。

彼には複数の名前があり、そのひとつが大物主大神。

そう、日本最古の神社としてうたわれる大神神社にまつられる神様です。

持統天皇をはじめとした古代の人々が、最初に政治を行ったのは飛鳥です。

大神神社がある桜井市は、飛鳥にとても近く、飛鳥から三輪山がきれいに見え、大神神社からも飛鳥にある大和三山などがよく見えます。

お山の神聖を求めて吉野にやってきた人々は、そこでもふるさとを忘れなかった。

飛鳥から毎日拝む三輪の神様を、吉野でもまた崇めたのです。

いでたちのよろしい象山は、三輪山に見立てられたのではないでしょうか。

古代の人々が愛し、心から慕った大神神社にもお参りせねばです。

巻頭のイラストは500mlさんのものをお借りしました。ありがとうございました。

奈良でガイドをしています。これからもっとあちこち回っておもしろいガイドを提供します。ご支援どうぞお願いいたします。