渡来人の足跡
奈良に昔から住んでいる人を「奈良漬け」
奈良の外からやって来た人を「渡来人」なんて言ったりするそうです。
誰が言い出したのか?わからないのですけど、なんともよくわかるニュアンスです・・・
奈良の古代を色々見ていると「渡来人」が出てこないシーンはないのでは?と思います。
日本のお寺の元祖として名高い「飛鳥寺」はその創建に渡来人が関わっています。
百済から渡ってきた寺工・露盤博士・瓦博士・画工らが主体となって造営したことが『日本書紀』にあります。
建築と言えば掘立柱に茅葺き屋根が主流だった時代、礎石を使って柱を立て、瓦を焼いて屋根に乗せる。
そしてそれらがきらびやかに塗られ、装飾される・・・
きっと皆目をむいて見守っていたことでしょう。
完成した飛鳥寺に、さあ、仏像を安置・・・と思ったら仏像が扉につかえて入らない!
意気揚々と寺を完成させた渡来人たちの額に、ちびまる子ちゃんみたいなタテ線が入って、ガーンという効果音が聞こえたことでしょう(笑)
しかし、その時さっそうと現れたのが鞍作止利です。
彼もまた渡来系の人物だといいます。
完成した寺の扉を壊そうか・・・というところに、壊さずに安置したというエピソードが伝わっています。
飛鳥寺の創建から150年ほど経って、奈良に大仏さんでおなじみの東大寺が作られます。
東大寺はまず大仏さんを作り、あとから大仏殿を建てました。
光背という背中にある光を放つことをあらわす装飾があるのですが、それは建物を建てたあと設置したそうです。
ところが天井につかえて設置できない!
困った・・・となったところ、「天井の方を切り上げて設置したらいい」という案が出てことなきを得ました。
これを授けてくれたのは、のちに修二会を創始する実忠和尚だといいます。
実忠さんも謎多きひとで、渡来系ではないか、という説があるのです。
渡来人は建築だけでなく、機織り、造船、馬具、土器作りにも秀でていました。
また文書作成、会計事務にも精通していました。
日本の歴史を語る上で、欠かせない技術を持ってサポートしてくれた人々です。
この渡来人たちの足跡を南山城でも見ることができます。
そう、先日まで開催していた奈良国立博物館の展覧会『聖地 南山城』の南山城です。
このあと東京で巡回します。
東京での博物館展示が『京都 南山城の仏像』と変わっているので、展示内容がわりと変化しているかもしれません。
南山城にすばらしい仏像がおいでなさるのは、少なからず渡来人達がいたことと関係あります。
9月3日(日)東京 新橋で、渡来人のことを、彼らが根を張った南山城地域のことを語ります。
まだ若干お席ありますので、ぜひいらしてください!
《日時》2023年 9月3日(日)
13時30受付 14時スタート
15時30終了
《参加費》4500円
《会場》JR新橋駅ちかく(お申し込みのかたに詳細お伝えします)
《申し込み先》
【東京イベント】トーハク『京都 南山城の仏像』を「渡来人」と「地形」で読む! | ただうち香織の奈良ガイド (uruwashinara.com)
巻頭イラストはぱちこ☆さんのものを拝借しました。
ありがとうございました。