奈良博『空海展』を観たあとに
奈良国立博物館『空海』展
昔っから空海ファンの人はもちろん、今回初めて空海さまという方に触れ合った方も、とにかくみんな大満足しているという展覧会です。(私の体感調べ)
以前ニコ生で喋ったと思うのですが、ずいぶん前から奈良博では空海さまの展覧会を宣伝してました。
その時に、片面だけのチラシを配布していたのをもらったことがあるのです。
展覧会チラシって両面印刷が普通で…
だって片面だけだったらもったいないじゃないですか。
その時は片面展覧会チラシ、片面真っ白だったのですよ。
まだ不確定要素がいっぱいある!でも出したい!という意気込みにあふれるチラシでした。
今回の空海様の展覧会、遠くからお越しの方もたくさんいらっしゃるようで、せっかくですから展覧会後に立ち寄ってほしい場所をご紹介します。
興福寺 南円堂
展覧会会場のもよりは近鉄奈良駅でして、その近くに興福寺があります。
こちらにあります「南円堂」というお堂・空海さまプロデュースだというのです。
興福寺さん南円堂のHPにも『また鎮壇には弘法大師空海が大きく関わったことが伝えらられています』とあります。
現在の南円堂さんは江戸時代の再建ですが、空海様が同じ目線でこのお堂を見上げた…かも。
この南円堂を建てたのは藤原冬嗣という人です。
今回展覧会に出ている『風信帖』という空海さまのお手紙に最澄さまからのお手紙に感謝するというくだりで、「左衛士の督(さえじのかみ)」からのお手紙も受け取ったという内容があります。
この左衛士の督が藤原冬嗣なのです。
そして、国宝館には、かつて南円堂の前に立っていた灯籠が保管されています。
この灯籠の火袋に記された銘文は、空海様の作。
文字を書いたのは橘逸勢というひと。
橘逸勢さんは、空海さまと同じように唐へ留学したのですが、中国語が苦手だったためにお勉強はさっぱりだったそうで。(親近感わくわー)その代わりに書をマスターして帰り、その後日本でもっとも字のうまい三筆に空海様ととともに名を連ねています。
二月堂 階段脇の「多羅葉樹」
奈良国立博物館からほど近い場所に東大寺があります。
空海様は一時東大寺の別当(お寺のトップ)を勤めたことがありますので、大仏様のもとにて拝礼していた様子が想像できます。
さて、東大寺・大仏殿から少し坂道を登っていくと二月堂というお堂があります。
この二月堂には京都の清水寺のように舞台がついてまして、奈良市内を一望できる素晴らしい場所です。
この舞台に上がるのに、階段がふたつあります。
屋根つきの階段と屋根なしの階段。
屋根なしの階段を登る途中に、大きな木が葉を広げていまして、これが「多羅葉」の葉です。
この葉っぱは尖ったもので引っ掻くように傷をつけると文字が書けるのです。
昔はこれを使って手紙を書き、「葉書」の語源になったといいます。
空海様の展示に、密教が伝来するルートを紹介するコーナーがありました。
その中で「梵來(ぼんきょう)」というのが出ていました。
これはまだ紙がなかった時代、多羅樹というヤシ科の植物の葉を加工して経典として使ったものです。
この「多羅樹」と日本の「多羅葉」はほぼ同じものですので、古代の人が苦労して文字を残そうとした…その葉っぱを手にとって見ることができます。
季節によっては階段にたくさん落ちてますので、むしるのはダメですよ~
ぜひ二月堂に参詣がてら、多羅葉の木を探してみてください。
奈良博 空海展は2024年6月9日まで。
ぜひお運び下さい。
よかったら奈良ツアーとあわせて来てね。
ただうち香織の奈良ガイド (uruwashinara.com)
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