正倉院の宝物は「美しいもの」だけじゃない!~文書もいいよ!~
正倉院の宝物というと、きらびやかな螺鈿細工、精緻なわざが施された鏡。超絶技巧な撥鏤技法という象牙を染色して模様を施すものなど実に沢山見どころがあります。
でも表面はきらびやかでないけれど、ぜひ注目したいものがあります。
それは文書。
正倉院には実に沢山の文書類が伝わっています。
お経や、東大寺の記録などにまじって、奈良時代の戸籍も残っています。
なぜ戸籍が東大寺にあるのか?
それは紙が貴重な時代だったからです。
奈良時代は戸籍が作られ、それをもとに納税や徴兵がなされました。
今と同じで行政文書には保存期間があります。
期間を過ぎると廃棄されるのも同じ。
今と違うのは、廃棄といっても紙は貴重品なので、裏を使ったのです。
こうして元々戸籍だったものの裏面が使われました。
東大寺の事務作業に使われた結果、片方は戸籍、片方は東大寺の記録として残ったのです。
奈良時代の戸籍がオリジナルのまま残っているなんて、世界中探しても正倉院にしかありません。
この戸籍の中には、現在の東京 葛飾区あたりに居住するトラさんとさくらめさんという方の名前が見えて、古代にも「男はつらいよ」ファミリーがいた!ということで話題になったことがあります。
正倉院展で出陳されるものは、すべて見る甲斐のあるものばかりですが、ぜひ文書類にも注目してみてください。
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