【古】事業再構築補助金第12回公募レビュー(最終回)
※この補助金の第12回公募は終了しています。
【以下掲載時原文】
ども、ならなすおです。
GWで継続が危ぶまれた本シリーズも、無事に最終回です。
余談ですが、弊社、受注がないので、4月1日から実質GWです。
「あれ、○○さん、GW休まないんですか?」とレンタルオフィスのスタッフさんに言われ、カッコつけて「色々片付けとかないといけないんで」とか言いましたが、「普段から全部休みです」が正解です。
・・・おれ、ドンマイ!
似たような境遇にある人たちも、ドンマイです。
たかだか一週間休みなだけで「ゴールデン」とか言ってる連中より、幸せかもです。
さて、ヨタ話はこれぐらいにして、事業再構築補助金レビュー、3回シリーズの最終回です。
いよいよ、申請に入ります。
過去2回は制度の解説だったので実質「言いっぱなし」でしたが、今回は、読者さんが自ら作業する内容も含まれるので、「ここは頑張って自分でやりましょう」「ここは専門家に相談した方がいいっす」という違いとその理由も書いていきたいと思います。
では、本編スタートです。
(1)補助金の使い道
補助金、申請前にまず「何に使うか」を決めておきます。
①使える経費項目
・建物費
事業実施に必要な建物、附属設備の改修などの経費です。
新築だと高くなるため、「新築じゃないとダメな理由書」が必要です。
・機械装置、システム構築費
多くの場合、これがメインです。
事業で使う機械装置の購入費やシステム構築費です。
中古品を買う場合は、3社以上から「相見積り」を取る必要があり、少し面倒です。
・外注費
加工、設計、検査などを他社に発注する場合に発生する経費です。
・廃業費
「成長分野進出枠」で「停滞する既存市場から新分野に出ていく」タイプの事業再構築をする際に、既存事業をたたむ際に発生する経費(建物解体、原状回復費など)です。
・その他
技術導入費(知財導入経費)、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用料、知財関連経費、広告宣伝費、研修費などが対象です。
・対象外
消費税は対象外です。
車両も対象外です。
あと、パソコンなど「他の事に流用できるようなもの」は対象から外れます。
②エビデンスは、少なめに
ここからは、採択されて交付決定を受けた後の事務処理とも関連してくる内容です。
補助金申請に当たり、「こんな経費の積み方をしとくと後々楽です」というコツです。
「補助対象経費の積み上げ」については、支援機関やコンサルに相談した方がいいです。
そして、その支援機関、コンサルに、補助事業を実際にやっていく最中のエビデンスの整え方についても、ちょいちょい相談するのが得策です。
・エビデンスの件数を少なくする
「エビデンス」とは「証拠書類」という意味です。
「経費をちゃんと払いました」という証明のため、いろいろ書類を残しておかないといけません。
補助金をやった事ある人は知っていると思いますが、エビデンス整理は結構面倒です。
どうすれば、楽になるか?
答えは一つ。
エビデンスを整えないといけない件数を減らせばいいんです。
つまり、建物や機械設備など、1件の契約額が多いものから順に補助対象経費を積み上げるんです。
広告宣伝費や研修費などの額の小さいな経費については、「エビデンス整備が面倒なのではなから経費として積まない」という選択肢を検討してみてください。
「対象経費なのにもったいない」と思われるかもしれませんが、エビデンス整備の現場から見ると、数万円のこまごました経費の膨大なエビデンスをせっせと整える作業は、鬼大変です。
事業再構築補助金やモノづくり補助金、省力化系の補助金など、「設備投資がメイン」の補助制度では、私は「補助対象経費は設備一本が楽です」とクライアントさんに申し上げています。
商品開発や研究開発などでは、設備を買っただけで済むはずがないので怪しまれますが、設備購入メインの補助制度では使える裏技です。
エビデンス整備は、それくらいめんどくさいです。
・設備投資は、可能なら税の優遇とセットで
エビデンスの件数を少なくするには、設備投資など大きめの支出に補助対象経費を寄せていった方がいいわけですが、それをすると、税制面で「減価償却」という問題が出てきます。
(例)
500万円の設備(例えば5年均等償却)を買ったとします。
その年、会社の財布からは、500万円が消えます。
しかしながら、その年、経費として落とせるのは、100万円です。
残りの400万円は、会社の決算書上「資産」として残り、毎年100万円ずつ費用計上されます。
この仕組みが「減価償却」です。
補助金で導入する設備は、大体減価償却資産になります。
で、減価償却されると、「その年のコストは100万円だけ」(実際500万円消えているのに)という扱いになり、「黒字が出て、お金がないのに税金を取られる」という恐怖の事態が発生する恐れがあります。
この恐怖の事態を避けるため、「中小企業経営強化税制」という税の優遇があります。
これは、ざっくり言うと、本来5年かけて償却しないといけない資産を、「一括償却」できるという制度です。
つまり、他の買い物と同じように、すべてその年の費用にできます。
全額その年の費用に計上できれば、黒字にならず、税金を余分に取られる心配もありません。
中小企業経営強化税制の利用は、要件などが難しいため、税理士さんに相談した方がいいです。
(2)申請
何に補助金を充てるかをざっくり決めたら、申請書の作成に入ります。
①事業計画
A4サイズ、15ページ以内で作成する、一番大事なやつです。
これを、金融機関や認定支援機関に確認してもらいます。
確認してもらうというか、金融機関や認定支援機関、場合によってはコンサルと一緒に作っていった方がいいです。
[事業計画書に盛り込むべき内容]
・事業再構築のどの類型か
・申請枠ごとの要件を満たすことの説明
・現在の事業の動向
・事業環境分析
・事業再構築の必要性
・具体的な取組内容
・取組によりもたらされる「強み」
・将来展望
・取得資産の概要
・収益計画
・実施体制
・スケジュール
などです。
これをわかりやすく、説得力のあるものにできるかどうかが、合否を分けます。
②その他の必要書類
事業計画書だけでも一苦労なのですが、それ以外に用意すべき書類が山ほどあります。
自分でやった方がいいやつは【自】、支援機関に相談した方がいいやつは【支】で整理しました。
【自】って書いてあるやつも、最初はわかんないと思いますので、やり方は支援機関に聞きましょう。
[その他必要書類(共通)]
【支】金融機関、認定支援機関確認書
【自】直近2期の決算書
【自】ミラサポ「ローカルベンチマーク」
【自】労働者名簿の写し
【自】固定資産台帳
【自】確定申告書別表一及び法人事業概況説明書
[その他必要書類(抜粋)]
【自】新築必要性説明書
【支】市場拡大要件説明書
【自】賃上げ誓約書
【自】短期大規模賃上げ計画書
【支】市場縮小要件説明書
【支】廃業費計上計画書
【自】最低賃金確認書
【支】GX進出計画書
【自】コロナ借換確認書
【支】再生要件説明書
【支】卒業計画書
【自】大規模賃上げ・従業員増加計画書
えーっと、丸投げしたくなる気持ちはわかります。
でも、丸投げは、できません。
なぜなら、電子申請のgBizIDログインを、自社でやらないといけないからです。
電子申請に必要事項を書き込み、必要書類を添付していく作業は、面倒でも、絶対に自社でやってください。
申請の本番は、最後の最後、準備を重ねた、一番最後です。
それまで苦労を重ねてきた事業者さんなら、電子申請は、それほど難しくないはずです。
(3)審査
どんな審査をされるのか、という情報です。
「敵を知り、己を知れば100戦危うからず。」
相手が知りたがっていることを書くのは、事業計画の定石です。
①書類審査
審査項目を下記します。
提出書類のどんなところが評価されるのか、確認したうえで申請書を作りましょう。
[審査項目]
・事業再構築に該当するか
・成長するか
・新規事業が有望か
・ちゃんと市場分析をしているか
・実現可能な計画か
・地域に貢献する事業か
[加点が取れる]
「パートナーシップ構築宣言」というのがあって、本来は「下請けいじめをしません」という宣言ですが、中小企業も宣言したら補助金の加点が取れます。
[減点がある]
気にしてもしょうがないですが、過去に事業再構築補助金に採択された企業は減点されます。
②口頭審査
書類審査をパスした事業者に、必要に応じて、15分程度の口頭審査を実施するそうです。
事業計画について、事業の適格性、革新性、優位性、実現可能性等の観点について審査するとのこと。
Zoom等でやるみたいですね。
これは多分、「コンサルに丸投げして経営者は何もわかってない」という状態でないことの確認です。
ここで一つアドバイス。
他の制度の「プレゼン審査」とかも同様です。
面談やプレゼンの練習は、
絶対に、
ぜーったいに、
専門家と一緒にやった方がいいです。
恥ずかしいからなのか、ぶっつけ本番で臨む方が少なくない。
「そこを乗り切ればウン千万」という経営の正念場ですよね?
皆さん、なぜそこだけ手を抜くんですか?
意味が分からない。
専門家は、金融機関でも、認定支援機関でも、よろず支援拠点でも、何でもいいです。
とにかく誰かに見てもらって、練習してください。
(4)あなご君
最終回なので「中締め」ですらないですが、中島君、花沢さんと来て、最後を飾るのは、やっぱりあなご君ですよね。
あの声、ダンディー過ぎます。
あの声に惚れない人、いたら教えてほしい。
Sさんtribe中最強なのは、おそらく彼っす。
と、いう事で、3話お付き合い、ありがとうございました。
私、経営をダイナミックに変革するタイミングで企業さんの資金調達をお手伝いするのが一番得意で、初期の事業再構築補助金、めっちゃ好きだったんです。
この制度、いろんなことを言われたみたいですが、私は使うべき企業さんにきっちり使ってほしいです。
そして、気持ちよく、経営を成長基調に乗せてほしいです。
最後までご覧いただいた皆さんに、オマケ。
私が使っている、経営等分析用のフレームワーク集です。
エクセルファイルで、ワークシートがたくさん付いています。
当たり前ですが、全部使う必要はありません。
一番向いているな、と思うフレームワークで、分析してみてください。
内容は、ネットに無料で置かれているようなフレームワークばかりですので、私から著作権を主張することはありません。
ダウンロード者の自己責任で、お使いください。
ご覧いただき、ありがとうございました。
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