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[エッセイ14]グリーンフィールド

ども、ならなすおです。
 
今回は、エッセイ「グリーンフィールド」です。
 
中小企業さんを応援させていただくにあたっての私の基本スタンスの話なので「企業応援記」的な文脈なのですが、雑文にしたいと思い、エッセイに分類しています。
 
さて、グリーンフィールドとは?
 
そこら辺にある、野原の事です。
 
私が初めて創業・ベンチャー支援に携わった2005年頃、「ピカピカベンチャー」という言葉と、「グリーンフィールド」という言葉を対比で使っていました。
 
大学、大企業など、高レベルな環境で培われ、ポテンシャルの高いベンチャー企業は「ピカピカベンチャー」。
 
そうした環境素地のない所、例えば地域の街角から出てきた創業案件は、「グリーンフィールド」という風に、分けて考えていました。
 
私は、補助金をはじめとする企業支援政策を見る際、未だにこの二元論で見ます。
どちらも大事ですが、私が応援できるのは「グリーンフィールド」だけです。
 
今回は、この二元論を噛み砕いていく中で、企業支援政策の構成などについても、解説できればと思っています。
 
本編、始めていきます。



(1)ピカピカベンチャー

1990年代の中盤以降、「大学発ベンチャー」「大企業発ベンチャー」といった、もともとポテンシャルの高い場所から出てくる企業を盛り上げようという政策が出てきました。
 
大学でハイレベルな研究をしている研究室から出てくるベンチャー企業や、大企業で実績を積んだビジネスマンが現場経験を踏まえて起こすベンチャー企業などは、目指す方向が明確で、成長の可能性も高いように感じられます。
(本当に成長するかはわからないのですが。)
 
経済産業省は現在、世界で戦い、勝てるスタートアップ企業を生み出し、革新的な技術やビジネスモデルで世界に新しい価値を提供するための育成支援プログラム「J-Startup」を推進しています。
 
そうしたプログラムに選ばれる多くの企業は、環境問題、エネルギー問題、宇宙への挑戦など、国が掲げる別の政策目標とも関連した事業を実施しており、技術や人材的にそれを担っていける潜在力を持っています。
 
支援する側も、トップベンチャーキャピタリスト(お金と一緒にノウハウを教えてくれる人)、アクセラレーター(成長を加速させるのをサポートしてくれる人)、大企業のイノベーション担当など、トップランナーの皆さんです。
 
中小企業向けの政策で見ると、「Go-Tech事業」(成長型中小企業等研究開発支援事業)がピカピカベンチャー支援に当てはまります。
技術的なベースを持った中小企業さんが、大学等の研究機関等と連携して行う、事業化につながる可能性の高い研究開発、試作品開発及び販路開拓への取組を最大3年間支援する事業です。

研究に励む彼女
(AIで生成)


(2)グリーンフィールド

突出した学歴や大企業でのキャリアを持たない方の創業でも、大きく成功している例はあります。
 
私の地元大分県で株式上場を果たしている、あるいは高成長を遂げている企業の経営者さんも、高学歴や大企業勤務経験などがない方が多いです。
 
こうしたグリーンフィールド発の企業さんの起業初期というのは、他の企業さんと見分けがつかないので、政策支援としては、「中小企業支援」のメニューを使っていただくようになります。
 
中小企業支援政策が、個々の企業を応援するようになった歴史は意外に浅く、1999年の「中小企業基本法大改正」が分岐点だと言われています。
 
それまでの中小企業支援政策は、「個々の中小企業の発言力や交渉力は弱いので、大企業に対する中小企業の不利や困難を解消していこう」というものが多かったですが、大改正以降、「経営の革新」「創業の促進」など、「頑張る個々の中小企業を応援しよう」という政策に転換していきました。
 
個別の中小企業の商品開発、販路開拓などの取組に補助金が出るようになったのも、この頃からです。
さらに最近では、個別企業の設備投資に踏み込んで、補助金支援が行われるようになりました。
 
ピカピカベンチャー向けほど額は大きくなく、制度も地味ですが、グリーンフィールドから出てくるベンチャーさん向けの政策支援も充実してきています。

グリーンフィールドの彼女
(AIで生成)


(3)支援のあり方

地域の中小企業診断士である私は、万が一「ピカピカベンチャー」を見つけたら、すぐにその支援に当たれる専門家に繋ごうと思っています。
ベンチャーキャピタルさん、監査法人さんなど、高成長ベンチャーとの付き合いに慣れてらっしゃる方々ですね。
 
私にはピカピカベンチャーを支援する能力はないので、私の所で延々と支援するのは、企業さんのためになりません。
 
逆に、「普通の企業」と「グリーンフィールド発ベンチャー」は、見分けがつきづらいので、そこを見分けて、高成長できる企業を引っ張り上げる作業は、私のやらなければならない仕事だと思っています。
 
つまり、早期に補助金を付けて、成長のスピードを速める、という支援です。
 
前にも書きましたが、私は、補助金とは、「理想像の早期実現のために、時間を買う行為」だと思っています。
 
成長できるポテンシャルと意欲を持った企業さんを、早く引っ張り上げたいです。
目立つ存在になったら、地銀さんや、ベンチャーキャピタルさんが手を差しのべてくれます。
そこまでやったら、私の役目は終わりです。

成長意欲の高いベンチャーさんの
補助金取得を支援
(AIで生成)


(4)おわりに

本稿を書きながら、過去の日本のピカピカベンチャー支援政策、そんなにうまくいかなかったのかな?という印象を受けました。
 
もしかすると、今ある政策も、効率が良くないものがあるのかも知れない。
 
ですが、今の私は、公務員ではないので、その是非を論じる立場にありません。
 
存在する政策を読み解き、使いたいと思う企業さんを応援し、結果的に国や地域の発展に貢献したい。
 
できるのは、それだけです。
 
グリーンフィールドから、日本に、世界に羽ばたく企業を一社でも輩出していきたい。
 
「ピカピカじゃないけど成功しましたが、何か?」
っていうモデルを作りたいです。
 
そういうのが、楽しそうです。
 
今回も、ご覧いただき、ありがとうございました。


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