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おキヤラクタア解説 〜おシナリオ4〜

さて、最後のシナリオです。お豪華絢爛版のために新たに作られたシナリオ。実際にはスマホ版の頃にはうっすらと考えはありましたが。


新たにおシナリオを作る

前に書いた通り、薔薇と椿は椿小路家のお話でなければなりません。この世界観を気に入ってくれている人も多いのだから。最初に計画していた春日向日葵の過去の話だとシナリオ3以上に椿小路家が絡みようがなくなってしまう。それより何より静香さんだけ深掘りがされてない。それはダメだ。静香さんも気に入ってるキャラですから。
シナリオ3は言ってみればシリーズ中盤に放り込まれた大脱線です。まぁこれはしょうがない。そういうのもあっていいだろうし、内容が内容だけに評価が上がるのもわかってるし。しかしそれを上回るシナリオを静香主人公で作れるかどうかが最大の問題。しかも勢いでシナリオ4も作るよ!と予定にないことを実行するんだから作業時間はコンパクトにしなければならない。ウィンやメイみたいな描くだけでゲボ吐きそうな複雑なデザインは避けなければならない。何より話の内容自体シナリオ3のように無軌道ではダメ、何かしら筋が通ってないと。同じノリで続けてはいかん。

おそらくはシナリオ3と同じノリで作ってもそれなりに楽しんでもらえるとは思いますけどね。こんな作者のこだわりなんて遊ぶ人にはどうでもいい部分だったりしますから。しかしもし、今後も椿小路家の話がつながっていくとしたら。やはり無軌道のままではダメだと思う。しっかりと椿小路家を描かなければ。
そこで最終的に導き出したのが、「敵キャラの人数を絞って話を作れないか」という考え。再登場、再戦できるシチュエーションさえ考えだせば。
押し売りと対決〜夜の賊と対決という流れはすぐに思いついたかな。なんでと言われても出てきたものは出てきたのだから。最後のボスをメカ椿にすることは先に決めました。ここに至る流れさえ作ればいいわけですからね。
メカ(からくり)を使える敵でなければならない、るろうに剣心にからくり人形師みたいなのいたでしょう。アレで。あとは何人出して何人ダブらせるかを考えれば。からくり人形師は1人だって構わないわけだから。まぁ3人組でしょうね。4人じゃさほど作業量は下がらないし、2人じゃバリエーションに乏しくなるし。
ということで再戦・再登場する2人とは別に、夜の家に忍び込む流れから鍵開け師を追加することになります。

FLash時代に思いついた他のシナリオと違い、シナリオ4のキャラだけは割としっかりデザインスケッチしてあります。勢いだけで済ませず、キャリアをもって計画的に考えたわけです。描く手間を減らしつつも、これまでのキャラとは違うタイプで埋め尽くすというコンセプトで。
各々のデザインはキャラ別に解説していきましょう。

椿小路静香(CV 石田嘉代)

ポーズは好きなアーティストのCDジャケットから

シナリオ4の主人公に抜擢されたことで、なんだかんだ言って一番登場してるんじゃないですかね。衣装のバリエーションも一番多い。
シナリオ2で沙織を主人公にしてしまったものだから、このゲーム最大のかませ犬ポジションになってましたから。一番のかませ犬は沙織です。これは動きません認めません。しかしこうなると強さの順序ってどうなるんだ?という疑問もわくでしょうね。まぁ主人公になる、強いケツイがある場合に強くなるってことでしょう。そうゆうことでいいよね。

まずデザイン面で言うと、主人公用の衣装を新規にデザインしました。シナリオ1の衣装は地味ですからね。主人公ならそれなりに主張する衣装でないと。
Flash時代に考えた衣装デザインは女性の服とか全く調べもせずにイメージだけで作ってましたが、この静香シナリオ4衣装は大正モダンな上流女性の服をいろいろ調べてからデザインしました。静香さんは年配なので露出は低いですfが、デコルテと背中が綺麗ですね。薔薇なんてつけるんじゃなかった。

アニメは結構頑張りましたね。敵側と違って主人公側はアニメ枚数は少なく済むんで入場・勝利をしっかり描きました。入場時はおハンカチで手を拭いててお上品。勝利時は手をぱんぱんと、ざっとこんなものですわ感を。それより何よりの衣装チェンジですね。
衣装チェンジ自体はラムラーナ編のムーブルクで実装済みだったので、絵さえ描けば特定ステージの主人公を入れ替えるだけなんです。静香さんは静香さんなんですが、ゲーム内のデータとしては静香さんは2種類いるって感じ。
ただ開発も伸びていたこともあって割と終わりの方まで「こんなことまで頑張らなくてもいいんじゃないか」と思って後回しにしてました。もう間に合わないと思ったら手をつける前に諦める。しかし頑張りましたね。他ならぬ静香さんの晴れ舞台。玲子や沙織に負けてなるものかと。
ま、ついつい思いついてしまった、いや、昭和のパロディばかりでなく最近のネットミームも取り込まなきゃという強い意志でセーラームーンチャレンジ構図を入れたかった。あれをセーラームーン構図だとわからせるには、あの寝巻きにしなければならないんだ。

シナリオ的には、静香さんは年配なので冷静沈着。沙織のようにヒステリックに感情を出さない。シナリオ1の時にただのノリで「笑止!」と言わせてしまっていたことから、「迂闊!」なんて言葉も生まれました。
シナリオ3の右子ほど突っ込み続けるわけでもなく、玲子や沙織のように理不尽な自分勝手な価値観で押し切らない。大人として玲子体制の椿小路家を受け入れつつも、自分の立ち位置は見失わない。いい女ですね。

なんか終わりの方で孤高であり至高!なんて良い感じのセリフ言ってましたが、はじめの一歩で鷹村が似た様なこと言ってましたよ。あととどめビンタ前の腕グルグルアニメはテリーマンです。結局パロディかよ。

根地巻しのぶ(CV 朝比奈幸)

戦闘中はこれより頭が大きめだった

見てくれよこれを。顔がよ、決まらねぇんだ。なんか可愛くないんだ。何回描き直したことか。

と言うわけで一番デザインに苦労した子です。これはクロ江とセットで「ハットリくんと弟のシンゾウ」にするためにへの字口にしたりほっぺたに赤丸つけたりと、そっちを意識しすぎて可愛くならないと言う感じでした。
目を大きくしたり、口を控えめにしたり。ホクロつけとこうか。試行錯誤して出来上がったのが完成版のしのぶです。所々、勝利時最後の牛乳を飲んだ後の顔なんかが旧デザインに引っ張られたままだったり。
そんな流れがあったもんで、完成してからもイマイチ納得がいかないというか、上手く出来た感が薄いというか。作者的にはちょっと愛せないキャラではあったんですが、この子も声がついてから印象がガラッと変わりました。

アニメ風な声はやらないと言いつつ結構アニメ的な声なんですが、録音中も聞いてて笑ってしまいましたからね。アリでしょう。そうかぁトリヱさんの声の人がなぁ。むしろ忍者コスプレしてる時はこう言う声でないと釣り合わなかったかもね。
何と言うかこう、ひねり出すような声の出方がこのキャラの卑屈さを一発で表現できたというか。2回も出てくるくせにキャラの掘り下げはしてないんだけど、最初の一声で性格がわかっちゃうというか。存在感のある声とでも言いますか。
エピソードで言えばトドメを刺されて吹っ飛ぶ声の指定はしてませんでした。顔面に牛乳瓶食らってるのでセリフは言わないだろうと。そしたら「コップに水入れて持ってきました」つって「ゴボゴボゴボゴボ」を収録してくれました。

どう描いてもカッコ良くはならない

忍者ですよ。こっちが本番。同じキャラを2回出せば流用できて作業量が減る?流用なんて顔しかできなかったよ。服どころかポーズが違うんだもん。それどころか衣装の網目のおかげで大変苦労した。でも描いてて面白かったのと、もう声をもらってから描き始めたのでノリノリでポーズやアニメ増やしましたね。

アニメといえば待機ポーズですね。スワイプ時にしか意味のない頭の位置変化の極致です。顔の当たり判定が完全に画面から消えるのはこのキャラだけです。水遁の術を思いついて自分で笑ってしまった以上、無理してでもさほど意味がなくてもアニメ描かないとね。
勝利時の煙も頑張って描いたなぁ。めんどくさいったらなかったんだけども、やっぱりニンジャなので煙で消えて欲しかった。

あとはシナリオ3の後なんで、攻撃方法とかインパクトかけるよなぁという杞憂がありました。お話的にオーソドックスなビンタするしかないですからねぇ。これはなんとかしてクリティカル攻撃だけでも常軌を逸するしかない。
それでしのぶのクリティカル攻撃は牛乳瓶殴打と目潰しに。どちらも「これはおビンタである」とは言い繕えない攻撃ですね。
シナリオ4は全員そうだな。

諏訪クロ江(CV 立石めぐみ)

若くて美人枠じゃないのにイキイキしてたなぁ

敵キャラに変化をつけなければ。見てくれだけの問題ではなく、シナリオ1以外で年配の女性が全く出ていないことに気づいて。人外はいましたけどね。あんなの何度も出すわけにはいかないじゃん。そういうわけで、おばあちゃんキャラを1人出すことから決めましたね。

腹立つ顔だ

最初はこんなデザインでした。おばあちゃん、押し売りということで林檎売りの魔法使いのイメージだったんです。襟元の歯車とか腰のギザギザとか、唐栗家3人はそれぞれ違うカラクリイメージのモチーフをつけるのは変わってないですね。
マロ眉毛にしたりして面白くしようと努力は感じられますが、どーにもイマイチ。
ハットリ君を連想させやすい衣装にしてたりして、のちに再登場した際の繋がりも考えてますが。なんだろう、描いてて楽しくないというか。ピンと来なかったんですよね、薔薇と椿の登場人物として。特にこの姿からインパクトのある攻撃方法が思いつかなかったというか。

これはもう、一旦リセットするしかない。デザインの幅を狭めているのは設定だ。忍者装束をイメージさせること自体をやめてしまったらもっと自由にデザインできるのでは?
そしてはっちゃけた結果が今のクロ江のデザインです。華族というか、薔薇と椿に相応しい華やかさを足すためにバレリーナという選択をしました。それなら武器が新聞というのは決めていたんだからターンしながら叩いたら?結果、他のキャラにはない独特の間で攻撃するキャラになってシナリオ4という攻撃パターンが出尽くしたところに新しいタイプが追加できて結果的に大成功だったと言えるでしょう。ターンするアニメ描くのは無茶苦茶大変で苦しかったけれども。でもこの大量に手間をかけたターンの動きを描いたからこそ、勝利退場や回避のアニメも「ターンさせればいいじゃん」で労力を下げることはできましたけども。
ホントはもっとタイミングが読みづらかったんですけどね。難しすぎるかな?と思ってクリティカル攻撃のターンの最後にわかりやすい間を足したことであまり難しい敵にはなれなかったけども。まぁそれはゲームが上手い配信者のプレイを見てるからそう思うだけかもしれない。こいつに苦戦した人だっているに違いない。

声優さんは……すごかったですね。星子のセリフを収録した後に一気にクロ江のセリフを収録してもらったんですが。もう、流れるように盛り上がって笑いながら聴いてました。リテイクした記憶がないです。クリティカル攻撃のモーションが一人だけタイミングが違うのに、長いセリフを用意してしまっていたんですが、早口で高い声で「ご覧遊ばせ、新聞のぉ〜、舞!」が最高に面白かったですね。
指示としてはシナリオ終盤に行くにつれて悪の大将だけども小物で、どんどん調子に乗っていくようにってお願いしました。勢いよく次々と収録されてて、このキャラこそ「収録現場を見たかった」と一番後悔させられましたね。

次皿愛(CV 儀武ゆう子)

見つめるネコの目

なんというかこう……キワモノばっかり描いてて疲れたんでしょうね。正統派美人を描きたかった。もうそれに尽きるな。

キャラのバリエーションを増やすという意味でも、「色気を振り撒く女」がいないなーと。いや、このゲームで色気を振り撒く必要は全くないのだから、あくまで外見的なね。スタイル抜群で流し目、アイシャドウ。ルージュをひいてるキャラも他にいないですね。ま、ラムラーナ編にはいるけども。
格好はモロにアレのパロディですが、鍵型のでっかいイヤリングは特徴だしにはなかなか良かったんじゃないでしょうか。
いやまぁ、この格好で昭和おじさん的にはカードやバールはファスナー開けて胸元から取り出して欲しいけどね。それやってたらもっと人気になってたかな?いやね、狙ってデザインした割には話題にならないんですよねー。それが描き手としては悔しいところ。

名前は我ながらよくできました。「盗」の字を分割して次皿なんてね。「盗む愛」で「キャッツ・アイ」ってことですね。カードを持たせたのは名前が決まった後だったかな。
そういえば自分の中では「つぐさら」だったんだけども、収録が終わって気づいたら「つぎさら」になってた。録音しちゃったからにはそっちを活かさないとね。

うん……ぼちぼち書くことがなくなったな。やっぱりこう、作った側としても印象は薄かったのかもしれないなー。でもこのキャラも愛着が湧き出したのはダメージ顔描いた後だったな。ゲーム中で唯一、トドメの一撃待ちの時に細かくアニメしてるんですよね。懇願するように首を振ってて。
それ以降もダメージ顔で描くのが楽しくなって、次のデモシーンでもメカ椿の中にいる時も白目ダメージ顔をウキウキで描いてますね。
なんだろうか、俺のおかしな癖に入ってるんだろうか。

効果音担当が入れてくれたバールの音は傑作でしたね。

メカ椿(CV 水口まつり)

描くのしんどかったな……

出オチ。キャラ的にはね。ゲームとしては4シナリオ最後のボスとしてはネタどころか最強に作れたと思う。ここまで作っていると、テストプレイをしてもらった感想などを聞いてどういうタイプが手強いか、何をされると難しいと感じるかがだいぶわかってきてて。
そのフィードバックもあってクロ江は予定になかった2連撃を追加してて。その流れでメカ椿にも予定になかった後半2連撃を実装しました。攻撃のリズムを変えてこないのがせめてもの情けかな。あと物語を締めくくる敵として盛り上がるように、体力が少なくなるほど往復ビンタチャンスになりやすく調整してたりして。
最初は高体力に高火力で苦戦して、かろうじて生き残っても不意打ち2連撃でやられる、でもリズムは一定なので慣れれば勝てるようなさ。

キャラの紹介と言っても特にない。メカを出せば面白かろうというのが全て。それがシナリオ1のボスの再現ってやれば4つのシナリオも繋がるし。要素として必要なものをつけていった感じかな。

そもそも人じゃないのでキャラとしては語ることがない。それよりデザインだね。これはもう、自分の中にある大河原邦男テイストを煮詰めて盛り込んだ。大河原テイストとは言ってもタイムボカン系列ではない。世代的にガンダムだ。でも乗り込み方や爆発でタイムボカンパロディになってるのでそっちパロディと見られることが多いみたいだけど。俺としてはガンダムの方が血肉として染み込んでる。タイムボカンシリーズもずっと見てたけどね。

ネタとしてはホントに「とうとうメカ出やがった」の1点に尽きるので、特に攻撃方法などで差別化をつけるつもりはなかった。椿大奥様と同じ動きしないと意味ないしね。違いはスワイプ操作の際に難易度が上がる顔の位置変更ぐらいか。
それもあってか、アニメ自体はそれほど苦労してない。人と違って線が単純なのでパーツの使い回しも楽で。椿フォーマットなので体も動かないしね。
その分、入場と敗北に徹底的に時間を割いた。忙しくて手を抜くべきところは抜かないと開発が伸びる一方!な時期だったんだけども。でもこのメカデザインなら乗り込ませないとねぇ。何よりネタで出したぶん「唐栗家の技術の結晶」みたいには見えないというか伝わらないだろうなとも思っていたので、この3人が協力して操縦している感は欲しかったてのもある。爆発も描くの大変だった。けどやっぱり、ねぇ。

声は三田や春日以上に「女の声どころか声優さんでやる必要すらない」と思ってたんですけども、音素材のタネとして声を録音してくれました。ピ!とかポ!みたいなのを何パターンか。それをこちらでメカボイスに加工して機械的に並べて音声を作ってます。

おシナリオ統括

シナリオや録音に関して裏話も尽きてしまって、この投稿の有料エリアに何描くべさ?と考えて、シナリオ統括を書くことにしました。シナリオについてというよりは、「なんでこんなテイストが生まれたのか?」についてです。

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