プロマイドを買いに東京まで行った話
先月テレビで『若い人』という映画を観てからすっかり吉永小百合さんのファンになってしまった僕は、年始の暇な時間にメルカリで彼女のブロマイドを探していた...。
マルベル堂
メルカリで出てきた商品を眺めていると、ブロマイドが入っている袋に
プロマイド MARUBELL
という文字列があることに気が付いた。
調べてみるとマルベル堂という店らしい。
※「ブロマイド」と「プロマイド」について
本来「ブロマイド(Bromide)」という単語は英語で「臭化物」を意味しますが、転じて臭化銀を感光剤として用いた印画紙のことを指す和製英語になります。
そしてこれを用いたタレントなどのコレクション用肖像写真のことを「プロマイド」と言います。
この「プロマイド」という単語を生み出したのが上述のマルベル堂であり、1921年創業の歴史のある店だ。
また公式サイトを見るとこのマルベル堂はプロマイドのネット販売も行っているみたいなので早速吉永小百合さんを調べてみた。
えっ、保有版数434枚?
滅茶苦茶あるじゃん...。
調べてみたら吉永小百合さんはプロマイドの年間売上で1位になったことが何回かあるみたい。
そりゃ400枚もあるわけだ。
今ほど娯楽の種類もない時代に彼女の姿を映画館の巨大スクリーンで見たら、男なら誰でもイチコロですよ、全く。
加えて、マルベル堂のプロマイドはコンビニ(ローソンなど)でのネットプリントにも対応しているらしい。手広いなぁ〜。
ここでも早速吉永小百合さんで検索してみたら、40種類あった。
ネット販売に比べたら随分少ないなぁ〜と思っていたらある一枚に目が止まった。
う、美しい...。
このプロマイドは吉永さんの女優としての活動期間のかなり初期(60年代前半?)の写真だと思うのですが、吉永小百合さん特有の「可愛いらしさ」が控えめで、「美しさ」に全振りしたような印象を受けました(早口)
ただただ美しい。
『若い人』を観た時はただただ可愛く思いましたが、この写真は限りなく美しい。
可愛くもあり、美しくもある...。
完璧じゃないですか。
ともかくこの写真に惚れた僕は、これを買いに浅草にあるマルベル堂に行く決意をしたのであった ...。
いざ浅草
1月某日の昼過ぎ、僕は中学での遠足?以来久しぶりの浅草にいた。
あいにくの雨だったが久々に軽く観光した。外国の方の多さに驚きながらアーケードを歩いていると、ネットで何度も見た店が目に入った。
所狭しと店の外にもプロマイドが陳列されていて、なかなか異様な存在感がある。
日頃殆ど会話という会話をしないコミュ障な僕は入り口でしばらく逡巡していたが、意を決して店内へと足を踏み入れた。
壁一面に陳列されたプロマイドの数々は見応えがあり、巨大サイズのプロマイドは圧巻だ。
地下に行くと昔懐かしの方たちのプロマイドが俳優別に分けられており、もちろん吉永小百合さんのもあった。
白黒の写真をまとめた分厚いファイルもあり、在庫がないプロマイドはそれを見て注文するらしい。吉永小百合さんは450種類近くあった。
目当てのプロマイドは残念ながら無かったが、それと同じ時に撮ったであろう構図のものがあったので、それを購入した。2L版で500円。
左が店舗で購入したもので、右がついでにコンビニのネットプリントで購入したもの。
店で買ったものは一枚一枚厚紙と一緒に袋に入っていて、右下のロゴもない。
色合いも柔らかめで近くで見るとコンビニよりも綺麗に見える。
値段は同じなので、店で買った方がいいですね。
そもそもコンビニの写真プリントはBromideを使ってないから「プロマイド」と言えるのか...?
マルベル堂ではL版から1万円以上の巨大サイズまで、様々な大きさで注文できるので本当に好きなタレントならオーダーするのがいいかもしれませんね(なんか宣伝みたいになってきた)。
P.S.
吉永小百合さんのプロマイドは全て白黒です。
もちろん色はなくとも色褪せない美しさがあるのですが、やっぱりカラーで見たくなってくるのが人間の性です。
そこで、AIを活用して画像を鮮明に拡大してくれるwaifu2xというサービスで拡大し、それをColouriseSGというDeep Learning を用いたカラー化システムでカラー化してみました。
その後、PCで見た時にサイズが揃うように幅を合わせてあります。
お、おお...すごい。
思ったよりも違和感なくカラーになっている。
すごい時代ですね。
ただサイトの注意書きにもあるとおり、このカラー化は撮影当時の本当の色を再現したものではありません。あくまでイメージです。
見た瞬間は感動したものの、時間が経つと何か違うような気がしてくる。
白黒写真は見た人がその色や雰囲気を自由に空想することができる。
言い換えれば自分にとって最も納得の行くように解釈してしまう。
ところがカラー化することによってその可能性を一つに限定してしまう。
それがこの違和感の正体ではなかろうか。
カラー化したものを見たあとで元の白黒を見ると、こちらの方がなぜかきれいに見えてよりしっくり来る。
白黒写真は白黒のままが一番いい。
そう思った。