作品紹介『うみねこのなく頃に』
こんにちは。
楢柏(ナラガシワ)です。
今回は、私が一番好きなサウンドノベル『うみねこのなく頃に』をご紹介します。
※注意※
・この記事は『うみねこのなく頃に』のネタバレを含みます。
・解釈はあくまで個人的なものです。
1 『うみねこのなく頃に』とは
『うみねこのなく頃に』は、2007年から2010年にかけて頒布された07thExpansion制作のサウンドノベルで、作者曰く「“解かせる気が毛頭ない”最悪な物語」です。
まずは、公式サイトの紹介文からどうぞ。
挑発的…!「解けるもんなら解いてみろ」と言わんばかり、というか言っていますね。
「犯人は魔女」とありますが、どういうことでしょうか。次は、『うみねこのなく頃に』のあらすじをご紹介します。
嵐の孤島、碑文の謎、魔女を名乗る人物からの手紙…と、『うみねこのなく頃に』の舞台設定は、典型的な孤島洋館ミステリーそのものです(クリスティのある作品が思い浮かぶ方もいらっしゃるのではないでしょうか)。
古き良き洋館ミステリー…と言うだけじゃないんです!『うみねこのなく頃に』のおすすめポイント3点、ネタバレ有りでご紹介します。
2 おすすめポイント
(1) 始まりの言葉
『うみねこのなく頃に』は、次の言葉から始まります。
おしゃれ〜(?)
よくある注意書きですが、言い回しが『うみねこのなく頃に』らしくて好きです。
皆さんも、ぜひ肩肘張らずに楽しんでください。この物語はどうせ幻想に決まっています。
(2) 作品の構成
「幻想に決まっています」…と書きつつ、『うみねこのなく頃に』は、ミステリーとしても、ファンタジーとしても読むことができる作品です。
私はミステリーとして読む『うみねこのなく頃に』が好きなので、今回はその視点で記録します(全ての事件には必ずトリックがある、という視点です)。
『うみねこのなく頃に』は計8つのEP(エピソード)で構成されていますが、各EPで描かれる六軒島での出来事は、その殆どが作中作(『うみねこのなく頃に』の中に登場する作品)と思われます。
EP1:作中作(犯人が流したメッセージボトル)
EP2:作中作(事件の真相を巡る偽書)
EP3:作中作(事件の真相を巡る偽書)
EP4:作中作(事件の真相を巡る偽書)
EP5:作中作(事件の真相を巡る偽書)
EP6:作中作(事件の真相を巡る偽書)
EP7:作中作(事件の真相を巡る偽書)
EP8:作中作(事件の真相を巡る偽書)
メッセージボトルは犯人本人が
偽書は作中のある人物が執筆しました。
ややこしいですが、「六軒島での出来事は作中作だから、魔法が出てきてもトリックを考える必要はない」という訳ではありません(それは思考の放棄で、謂わば「魔女に屈する」状態です)。
メッセージボトルも偽書も、ミステリー(人間によるトリック)で読めるよう綴られています(…と信じることが、この物語をミステリーとして読む第一歩です)。
では、そのトリックとは何か(How done it)、犯人は誰か(Who done it)、動機は何か(Why done it)。ミステリーとして読むにはこの3つを解く必要がある訳ですが、これが相当に難しい。でも、どうか辿り着いてほしいです。
ネタバレ有りとしつつ、この記事でトリック、犯人、動機を明かすことはしません。ここでは、その3つを一言で「真実」と表現させてください。
各エピソード(作中作)にて、ある人物は人間犯人説を、またある人物は魔女犯人説を語ります。
そして、そのどちらも「真実」ではないと思われ、『うみねこのなく頃に』が「“解かせる気が毛頭ない”最悪な物語」たる所以でもあります。
『うみねこのなく頃に』は、作中で「真実」が明かされません。
故に、貴方が、私が、「真実」に辿り着いたとして、それが作者(竜騎士07先生)が想定した「真実」である保証はありません(し、竜騎士07先生が想定した「真実」である必要もありません)。
なぜ「真実」を明かさないのか。
それは、「真実」を明かさない事こそが、この作品の重要なテーマだからです。
「重要なテーマってなんだよ!勿体ぶるな!」と言われたらそれまでなのですが、どうか、あの日の六軒島の「真実」に辿り着いてください。
そして、なぜ「真実」を明かさないのか、その答えにも至っていただけたら嬉しいです。
(3) 終わりの言葉
『うみねこのなく頃に』は、次の言葉で幕を閉じます。
残酷で、暖かな結末に、目が醒めるほど泣きました。これしかない、終幕の言葉です。
3 舞台版があるよ
『うみねこのなく頃に』は、ゲーム・漫画・小説・アニメと様々な媒体で楽しむことが出来ますが、2022年から舞台化もしています。
舞台版、おすすめです!
ゲーム版では1エピソード約15時間かかるところ、舞台版は1エピソード約3時間とタイパが良く、脚本・演出を担当している伊藤マサミ氏が原作の大ファンで、クオリティも折り紙付きです。
現在、EP1からEP4まで上演され、2025年2月にEP5の上演が決定しています。
愛がなければ視えない物語
『うみねこのなく頃に』
ご興味のある方は是非、挑戦してみてください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?