これからの旅するzoomは・・
緊急事態宣言から半年、世界の各地でこれまでと同じ”普通”と新しく現れた暮らしの間で、みんながバランスを取ろうとしていたこの期間に生まれた“旅するzoom”という企画の歩みと、そこから改めて見えてきた目指すところについて、振り返ってみました。
かつて書いた、『旅するzoomとこれからの旅は』と合わせて読んでいただけたら、オンラインで人と人をつなぐを目指す旅するzoomの来し方行く末を感じていただけると思います。その向こうに“これからの旅“が再び見えたら嬉しいです。
旅するzoom創世記
4月の1周目に旅するzoomが生まれたとき、世界は突然現れた目の前の緊急事態になすすべもなく、刻々と変化する状況と先の見えない閉塞感のなかにいた。
みんなのエネルギーが目に見えて下がっていくなかで、
「今、みんなのちからになれることを!」
という火事場の馬鹿力的熱量で、コンポントムの青い空と、規制がそれほど強くないこの場所の日々の人の営みを届けて、目の前に垂れ込める雲を払いたい!というのが、旅するzoomの最初の願い。
そして、そこから日本や世界にいる“生きる上での指針”が近そうな仲間たちにzoomで会いに行って話を聞く「旅するzoomあの人に会いたい」が生まれ、“今の状況”の向こう側にある世界に、みんなで思いを巡らし生きていくという時間も生まれ出た。
そのとき世の中では、オンラインを活用した領域がぐっと広がり、面白い企画もどんどん生まれ、かつ、それが”新しい当たり前”として受け入れられ、華を咲かせていた。
旅の領域でもオンライン宿泊やオンラインツアーが次々に登場し、6月・7月にはオンラインが「いつか行けるときのために」とリアルな旅への入り口というポジションを確立した感があった。
そんな”オンライン×旅”の追い風真っ只中のなかで、旅するzoomは4月の迸る情熱を忘れたように、その流れに乗ることもなく、ひとり静かに、お茶碗に乗る一寸法師のように小さく進んでいきました。
200人集まるオンラインツアーの隣で、
一回の開催は5−6人というミニマルさを守りながら。
正直にいえば、他のオンライン企画の動員数や注目の集まり方に心が揺らがないこともない。
本当にこの方法がいいの?
もっと広く知ってもらうチャンスをフイにしている?
単にマーケティングや実力不足?
右肩の後ろのほうからこういうささやきが来ることも多々ある。
でも。
旅するzoomはきっと「いまだから」という一過性の何かを超えたところを目指そうとしている。そんな予感がありました。
「COVIDが終わるまで」の間をつなぐだけではなくて、その先にある世界でも何か役割を担っていけるような自分を探している。旅するzoomをいちばん近くで見ている我々は、そんなことをひしひしと感じて、ときどき迫る揺らぎと戦いながら、「このあと」が生まれるのを見守っていました。
その役割は、旅するzoom一寸法師が小さなお碗で川の流れを進むうちに、きっと見えてくると信じて。
ひとりひとりの中にある、小さな光が照らす道
そんな日々のなか、5月から6月にかけての2ヶ月間、大学時代からの同志たちと10年ぶりにタッグを組んで「地域とつながる仕事」という講座をオンラインで実施した。
“地域とつながる”を核にしながら、総勢20数名の受講してくださった仲間たちと、それぞれの
暮らすかたち、
働きかた、
生きていくかたち、
今自分のなかにある思いや変化、おそれ
を丁寧に丁寧に紐とき、語り合い、一緒に考えあう2ヶ月間。
そして、その時間と対話を通じて、誰かを応援したり、されたりすることを思い出し、それぞれが無理なくできる“普通のこと”で誰かに貢献したりしながら、これからを生きるゆるやかな生態系が生まれていきました。
このオンラインの講座をとおして改めて、
一人ひとりの、ひとの中にある宝と輝きに出会うという、喜びを体感した。
それは、能力とかそういう種の輝きではなく、もっと小さな、本人はいたって普通と思っているホタルの光のような輝き。
でも、そのささやかな、小さな輝きが、
ときに誰かの足元を照らし、
ときに誰かの心をあたため、
ときに誰かの背に寄り添い、
ときに、ともに前に進む道しるべになる。
そして、COVIDの前の世界で、私たちが旅をつくるとき、訪れるひとたちと迎える人たちの間に生まれるのも、そうした“小さな輝き”の持ち寄り合いだった。
そんな時間をともにしたら、もう、空間や人種を超えてそれぞれの人生に刻まれる相手になる。
ああ、やっぱり、これこそが旅するzoomの大切にしたい原点だ。
同時に、これまでの世界で求められていた旅行の主流が、大きなキラキラの輝きで人を惹きつけるものだったとしたら、ここに現れたホタルのヒカリ型の旅は、その輝きの粒がどんどん小さくなっていって、ひとつひとつがもっと、さやかでかすかで、あたたかい。
その場に身を置いて初めてわかる、一瞬のキラリを見出していく旅が、きっと“これからのもう一つの道“として求められていく。
いや、もうすでに求められている。
だからこそ、“たくさんの人たちへ”という領域ではなく、小さく小さく丁寧に、その場にいるひとたちをつないでいく、というところにこそに旅するzoomの役割がある、と確信し、一寸法師が進む小さな細い道が確かに見えてきました。
これからの世界をともに旅する仲間に出会う
オンラインでもオフラインでも変わらない私たちと旅するzoomは、
「この人と、この人をつないだら、きっと何かが生まれる!」
という直感を手がかりに旅をつくります。
オンラインというツールを使って生まれた場の中で、だれかが今いる世界の物語に触れると、それに感応するように、日頃はなかなか現れないそれぞれのなかにある光があらわれはじめる。
人から人へとエネルギーが受け渡され、
またそれが対流して還ってきて、次へとつながっていくそのゆたかなひろがりを目の前で見せてもらったとき、そこには“人間が本来もっている素敵な可能性”があふれる濃厚な時間がある。
旅するzoomは、これからの世界を、小さな光で照らしあって、この壮大に美しくて、ときに大変な試練をくれる世界を、ともに旅をする仲間に出会う、距離を超えた生態系をつくっていきます。
いつか、その場所にいきたい。
いつか、その場所の本人に会いたい。
はもちろんだけれど、
そのときの旅するzoomでの時間が、忘れられないひとときになる。
あのときの旅を一緒にした仲間と、どこかでまたつながりあう。
誰かと誰かの人生の袖がすり合う瞬間が生まれるように、ひとつひとつを、小さく、丁寧につなぐ。
そして、そのつながりが対流する。
一寸法師は小さいけれど、誰かを助けることができる。
旅するzoomを通じて出会う仲間たちは少数だけれど、息長く、ほのかにつながりあって、それぞれの“今”をわかち合って、応援しあっていける。
こうして生まれたつながりは、
きっとピンチのときほど大事!
これが一寸法師・旅するzoomがオンラインとオフラインの混ざり合うこれからの世界で歩む道。
これからも、このガンコで小さな旅するzoomさんを、よろしくお願いします。
そしてこれからも、人生にぐっと効くような場を小さく小さくつくっていきます。
2020.9