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「花に嵐のたとえもあるさ、さよならだけが人生だ」井伏鱒二
ふと、
花に嵐のたとえもあるさ
さよならだけが人生だ
という言葉が浮かぶ。
これ、よく言ってた人いたな。
誰だったかを忘れてしまったけれど。
改めて調べてみると、
これは、「勧酒」という詩の訳で、
こう訳す井伏鱒二はなんたる才能なんだと
改めて、詩集を買ってみた。
花に嵐のたとえというと、
小さな会社の人事をしていた時に、
ある時代を牽引してきた技術者が
技術革新や新体制での活路を見出せず、
会社での居場所がなくなり、
退職を促すという
重い話し合いを重ねた時期に
残業帰りに通った
夜の桜並木を思い出す。
それはとても風の強い夜で、
当時若かった私は、
一晩で散る桜の花びらが風に舞う姿と
必要とされ持て囃された勇者が
時代が変わって無用の長物と化し、
時代と共に変われるほど器用には生きられず、
一つの時代と共に終わりを告げる状況が重なって
胸が熱くなったことを思い出す。
そしてそんな生き様を横目で見ていた若い私は
歳をとり、その一世代を築いた勇者と同じように
一つの時代と共に終わりを告げてゆく。
それが歳をとる事なんだろうなんて思う。
人生はそんなに甘かない
真面目に人のため社会のために生きてきたって
報われるわけじゃない
うまくいかないことばかりだったりもする
だけれども
歳をとると
どんな時代もこうやって熟成して
その醸す匂いを味わいながら
酒が飲めるので
まあこう言うのもいいもんだ
なんて思ったりする。
まあウィスキーは匂いで愉しむものですから。
さてさて、ウィスキーに合うあてでも考えて
今日はウィスキーでも飲みましょう。
以上
2025.1.28