「あたしは柴犬のアキ」42
今日も気持ちの良い朝。今日はアイドル活動をしよっと。通学途中の小学生に尻尾を振り、指をぺろぺろして、みんなを大喜びさせて笑顔いっぱいにして学校に向わせるのがあたしのあさのアイドル活動。
あれっお兄ちゃんが全然学校に行かない。小太郎君はピンポンを押さずに一人で行っちゃった。喧嘩でもしたのかな?リビングに戻るとソファの上でお兄ちゃんが寝ていた。ママが心配そうにしている。お兄ちゃんの顔が赤い。あたしはびっくりしてお兄ちゃんのそばに行って顔を舐めた。
「アキ、ありがとう。僕、熱が出て今日は学校を休むんだ」
大変おにいちゃん大丈夫?
「アキちゃん。ママはお仕事に行くねお兄ちゃんは一人になるから看病をお願いね。多分インフルエンザよ。お昼過ぎに帰ってくるから」
そういってママはお仕事に行っちゃった。
今日はお出かけも何もしないでお兄ちゃんの看病があたしのお仕事ね。よしがんばろ!
あたしはお兄ちゃんの上にのりお兄ちゃんの顔をしっかり見ていた。多分ママが言う看病ってこんなはず。
「アキありがとう。僕は少し寝るね。アキも一緒に寝たら」
そういってお兄ちゃんは寝てしまった。あたしが寝れるわけないわ。なんてったって「看病」しなくちゃならないのよ。意地でも寝ないわ。あたしは姿勢を時々変えながらお兄ちゃんを見続けた。
ママが帰って来た。お兄ちゃんの上にのっているあたしに
「アキちゃんホントに看病してくれていたんだ」と大笑いした。何がおかしいのかしら。
「アキちゃん。ママが帰って来たからもう好きなところに行って良いよ。看病ありがとう」って言われたけどあたしはお兄ちゃんが心配でどこにも行けなかった。今日はずっとお兄ちゃんの上にいたわ
「お兄ちゃんいつもありがとう」
あたしはそっとそう言ったの。