「あたしは柴犬のアキ」40
朝になった。ママが抱っこしてリビングのソファまで連れて行ってくれた。朝ご飯を作るママの姿をぼんやり見ていた。やっぱりまだ元気が出ない。ママは朝ご飯を作り終えると抱っこして庭の芝生の上まで連れて行ってくれた。
「アキちゃんトイレですよ~」
あたしはおしっこを済ませ自分の小屋に入った。
お兄ちゃんもお姉ちゃんも起きてきて小屋をのぞきにきた。
「アキ、気分はどう?」お兄ちゃんが言った。
「アキちゃん今日はのんびり過ごしなさいね」そう言いながらお姉ちゃんは撫ぜてくれた。
今日はアイドル活動する気持ちになれないなぁ。小学生の呼ぶ声がしたけどゴメンね。
小屋で寝ていると隣のおばあちゃんの声がした。
「アキちゃん。アーーーキーーーちゃん!あれっ元気ないのね。どうしたの? おばあちゃんとっても心配よ。こっちに来てごらんなさい」
あれっ不思議。なんか動く気になった。おばあちゃんのところに行こう。
「アキちゃんどうしたの?尻尾が下がっているわよ。元気ないのね。おじいさーん、おじいさーん!」
おばあちゃんはおじいちゃんを呼びに行った。あたしの様子を聞いて出てきたおじいちゃんは一大事といった感じで慌てていた。おじいちゃんはあたしの家の庭に脚立をおろして入ってきた。おばあちゃんが「おじいちゃん不法侵入よ」といっても「かまわんかまわん」と言って入ってきた。そしてあたしを抱っこして自分の家に連れて行った。なんか今日のおじいちゃんはいつもと違う。とても強引。おじいちゃんはそのままお家の中まであたしを抱っこして連れて行きソファに座らせた。
「あきちゃんどうしたの?言いたくなかったら何も言わなくて良いんだよ。お家の人が帰ってくるまで今日はここにいなさい」
おじいちゃんがそう言ってくれたので今日はここにいることにした。ほんとにお隣のおじいちゃんとおばあちゃん大好き。ありがとう。それからおやつを食べて、お水を飲んでおばあちゃんと一緒にテレビを見ているうちにあたしは眠たくなってきて寝たの。