「あたしは柴犬のアキ」33
次の日お出かけできる時間になった。あたしはモモちゃんの庭に行った。
「モモちゃん、あたし良いアイデアが浮かんだわよ。ミーちゃん達に頼むのよ」
「アキちゃんグッドアイディア。ミーちゃん達なら仲間がいっぱいいるし、どんな家でも入っていけるもんね」
あたし達は時計台に向かった。時計台にはミーちゃんと見たことのない猫ちゃんがいた。ミーちゃんにモモちゃんの経緯を話して、協力をお願いした。モモちゃんは頼みにくそうだったので、あたしが全部話した。
「手伝うわよ。友達でしょ。ここに来た子全員に手伝ってって言っておくわよ」
ミーちゃんはとっても良い子だ。これで一つ道が開けた。あたし達は時計台を出てジョンの捜索を続けた。
「アキちゃん全然手がかりないね」
「モモちゃんいつか見つかるわよ。絶対大丈夫。もうひとっ走りしましょ」
あたしはだんだん道がよくわかるようになってきた。ちょっと迷っても大きな建物を目印に帰ればいいってこともわかった。なんか成長した感じがする。
「アキちゃん、もう疲れちゃった。今日は帰ろうか」
「うん」
あたし達はそれぞれの家に帰った。庭で遊んでいたけど、最近ちっとも隣のおばあちゃんと話していなかったので、おばあちゃんの方に向かって吠えてみた。何回も何回も吠えたけどおばあちゃんは出てこなかった。暫くしておじいちゃんが出てきてきなこ餅をくれた。
「アキちゃん、ばぁさんは病気で寝てるんだ。お見舞いに来てやってくれんか」
おじいちゃんはそう言ってアルミのはしごをあたしの方に降ろした。はしごを登ったらおじいちゃんが抱っこしてくれた。それから家に入っておばあちゃんの寝ている部屋まで連れて行ってくれた。おばあちゃんは寝ていたけど、あたしとおじいちゃんが入って行くと目を覚ましてビックリした。
「アキちゃん。来てくれたの。嬉しいわ。ほんとに嬉しいわ。何でも食べてね。おじいちゃんおやつを取ってきて」
あたしはおじいちゃんがおやつを取りに行ってる間中おばあちゃんの顔を舐めた。それからおばあちゃんの体にぴったりくっついて伏せをした。
「アキちゃんがくっついているだけで病気が良くなる気がするわ。ほんとに良い子ね。おばあちゃんはアキちゃんが大好きよ」
あたしは嬉しくて泣きそうになって「くうぅーん」と言った。
おじいちゃんにお煎餅を貰ってバリバリ食べて、落ちたかけらも全部食べた。
「アキちゃんお家の人に見つかるからもう帰ろうか」
おじいちゃんはそう言ってあたしを抱っこした。見つかっても良い。おばあちゃんと一緒にいたい。そう思ったけどそれは無理。あたしはおじいちゃんに連れられて自分のお家に帰った。
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