「あたしは柴犬のアキ」19
今日もお出かけ。モモちゃんと合流するとお互い何も言わなくても目的地は決まっている。そうあの「時計台」あたし達は走って向かった。時計台に着くとミーちゃんたちが待っていた。
「やっぱり来ると思ってた」ミーちゃんはそう言うと笑った。あたし達も笑った。
「今日は何して遊ぶ?」モモちゃんが猫たちに聞いた。
「そうねぇ。毛づくろいしてあげようか」ミーちゃんが言った。
「ほんとう?嬉しい。ぜひお願い」モモちゃんはそう言うとごろんと横になった。あたしも真似して横になった。猫たちはあたし達の毛づくろいをはじめた。
「犬もするけど毛づくろいは猫の方がプロよ。どう?気持ち良い?」ミーちゃんが言った。
「うんとっても気持ち良いよ。眠たくなってきた。」
「寝ちゃっていいよ」ミーちゃんはそう言いうと、サクラちゃんが横になり枕になってくれた。サクラちゃんの枕にミーちゃんの毛づくろい。あーなんて極楽なんでしょう。
「もう帰る時間よ」モモちゃんに起こされて目を覚ますと、サクラちゃんも寝ていた。
モモちゃんと猫たちにお礼を言って帰ろうとした時ミーちゃんが言った。
「あなた達の家の周りでうんちしていた子に、もうやめてあげてねって言っといたから、大丈夫よ。別のグループの子だったけどオッケーしてくれたわ」ありがとうミーちゃん。猫ってほんとに良い子ばっかり。
あたしとモモちゃんは寝てしまって遅くなったので急いで家に帰った。
家に着いた。今日はおばあちゃんはいなかった。モモちゃんは別れ際に「明日、私たちも猫ちゃんに何かしてあげよう。明日までに考えておこうね」と言った。あたしは自分の庭で家族が帰ってくるまで猫ちゃんに何をしてあげられるかを必死で考えた。
犬の得意なこと。尻尾フリフリ、犬かき、穴掘り、顔をなめること、クンクン匂いを嗅ぐこと、お手、おかわり、ボールを嚙むことそれぐらいしか思いつかない。その中で猫が喜びそうなことは尻尾フリフリね。尻尾フリフリで猫ちゃんの体を撫でてあげるの。それが良いわ。それで決まりね。
夜、庭に出るチャンスがあったのでモモちゃんの庭に向かって報告しようと思って吠えたけど返事はなかった。多分家の中にいるのね。残念。