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「あたしは柴犬のアキ」18

 今日もモモちゃんとお出かけだ。モモちゃんを誘いに行こうと外へ出るとモモちゃんがもう塀の前で待っていた。
「アキちゃん行くわよ。今日も探検よ」
「オッケー、今日もよろしくね。アネキ」
あたしは最近モモちゃんが本当のお姉ちゃんに思えてきている。

 あたし達は走り始めた。いつもリードに繋がれてのお散歩ばっかりだったから、あたし達は走るのが大好き。アスファルトにあたる爪の音もリズミカルで大好き。

 暫く走っていると、この前と同じ場所にミーちゃんが座っていた。
「良かったぁ会えた。待ってたのよ。今日もお話ししたいなと思って」
「ありがとう、私も会いたいなと思っていたのよ」モモちゃんが言った。
「あなた達のことを、この辺の猫に話したら、秘密の遊び場に招待しようという事になったのよ。遊びに来ない?」
「行きたい。行きたい。アキちゃんはどう?」
「行きたーい行きたーい」
あたしは嬉しくて吠えまくってしまった。

 ミーちゃんの後をあたし達は歩いた。ミーちゃんはのっそり歩く。あたし達も歩き方を真似してのっそり歩いた。モモちゃんが振り返り笑っている。曲がり角を三つぐらい曲がると大きな道に出た。道路の真ん中に丸い場所があり雑草が人間の背より高く生えていた。その土地の真ん中からポールが伸びていて、一番上には大きな時計が付いていた。
「ここは時計台って呼んでるの」ミーちゃんはそう言うと雑草の中に入っていった。

 ポールの根元のコンクリートの部分に二人の猫が寝転んでいた。ここは外の道路からは見えない。格好の隠れ家ね。「連れて来たよ」ミーちゃんがそう言うと、二匹の猫は起き上がりお座りの姿勢になった。
「こんにちは、あたしはモモ、この子はアキちゃん。よろしくね」
「手前にいるのがジロー、後ろにいるのがサクラちゃんよ。あと三人ほどいるけど今日はまだ来ていないわ」ミーちゃんが言った。
それから暫くみんなで追いかけごっこしたり、顔を舐めあったりして遊んだ。みんなとても仲良くなった。疲れたのでみんなで寝転んだり座ったりしながらお話しすることになった。
「俺いつも思うんだけど、なんで犬は俺たちのことを威嚇するの?」ジローが言った。
よく考えればあたしも理由がわからなかった。モモちゃんが答えた。
「あなた達はあたし達の家の庭でうんちするでしょ。だから追い払っているの。その癖で姿をみればいつでも威嚇しちゃうの」
「なんだそうだったんだ。それだけ?もっと早く言ってよ、言ってくれたらしないのに」ジローはそう言うと笑った。
「じゃあモモちゃんとアキちゃんのお家のまわりではウンチはしないね。帰る時についていくからお家を教えてね」ミーちゃんが言った。

 だいぶ時間が経ったのであたし達は帰ることにした。二人の後を猫がついて歩いた。
モモちゃんを先頭に計五人で道路を歩いた。なんか見たこともない光景だった。

 家についた。あたしとモモちゃんはみんなに自分の家を紹介して、出入りしている場所も教えた。「遊びに行っても良い?」とサクラちゃんが聞くので「いつでも来てね」と答えた。
みんなでバイバイをして別れた。

 隣のおばあちゃんはその一部始終を見ていて驚いた顔をしていた。今日はおやつをくれなかった。たぶん五個も用意していなかったんだと思う。

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