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「あたしは柴犬のアキ」7

隣のお庭は思っていた通りとても素敵だった。芝生も綺麗に整えてあり肉球にあたる感触が最高。すぐにゴロンと横になってみた。すごく気持ちいい。おじいちゃんがお腹をナゼナゼしてくれた。本当に優しい人たち。せっかくなので隅から隅までクンクンしてみよう。まずは一番気になっていた犬小屋ね。チコちゃんってこんな匂いの子だったんだ。いろんな木が植わってる。ちょっとおしっこをしてみた。お花の匂いも嗅いでみよう。とってもいい匂い。あっうちとは反対側の隣のお庭も見える。金網なのでそこのお庭は全部見える。そこも別のおばあちゃんがいる。あたしの家の前をよく通るおばあちゃんはここのおうちに住んでいたんだ。あちこち探検してたらおばあちゃんが洗面器に水を入れておいてくれた。うれしい。たくさん飲んだわ。「ゆっくりしていっても良いのよ」おばあちゃんがそう言うので甘えることにした。とりあえず犬小屋に飛び込んだ。わー広い。木の香りとチコちゃんの匂いが入り混じっている。気に入ってそこに入っているとおばあちゃんが「掃除をするからちょっと出て待ってて」というので外に出て遊んだ。その間におばあちゃんは犬小屋の掃除をして毛布を敷いてくれた。わー気持ちいいフカフカの毛布だ。あたしはいつの間にか眠ってしまっていた。
 どれくらい経ったかわからない。目を覚ますとおばあちゃんとおじいちゃんが小屋をのぞき込んで笑っている。二人の顔をペロペロ舐めた。「もうすぐお家の人が帰ってくる時間だからそろそろ帰ろうか、またいつでもおいでね」おじいちゃんがそう言いながらあたしを抱っこした。おばあちゃんもナゼナゼしてくれた。別れるのはとっても辛かったけど仕方ないわ。おじいちゃんはあたしを脚立にそっとのせてくれたので、ひょいっと飛び降りて自分のお家に帰った。振り向くとおばあちゃんとおじいちゃんは手を振っていた。ありがとう、また行くね。

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