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「あたしは柴犬のアキ」39
朝になった。朝から元気が出ない。あたしどうしちゃったのかしら。リビングのソフォに寝転がってみんなが朝ごはんを食べているのをぼーっと見ていた。みんな心配そうにあたしを見ている。あたしの尻尾は垂れ下がったまま。一番最初にご飯を食べ終わったお姉ちゃんが、あたしを庭に出してくれた。おしっことうんこを済ましてまたリビングのソファに寝転んだ。ママがドッグフードを用意してくれた。
「アキちゃん、もうみんな出発するからね。ご飯はしっかり食べるのよ」
ママがそう言って仕事に行ってしまった。
庭に出る気になれない。今日はこのソファでのんびりしよう。
外でモモちゃんが吠えている。心配してくれてるんだ。ごめんね。返事できないよ。
ウトウトしていると「ニャーニャー」と庭の方から声が聞こえて目が覚めた。リビングから庭を見るとガラス越しにミーちゃんが座っていた。
「昨日バイクとぶつかったんだって? モモちゃんに聞いたよ。モモちゃんが心配して様子をみて来って言うから来てみたの」
「ありがとう。全然元気が出ないの。ご飯も食べられないしお外も怖くて行けないの」
「そらそうよ。怖かったでしょ?元気が出て尻尾がクルンと巻くまでゆっくり寝ることよ。あたし達ネコも時々ぶつかるの。何日か経ったら自然に元気がでるわよ。元気になったら時計台に来てね」
「うんわかった。モモちゃんにも元気ないけど元気だよって言っておいて」
ミーちゃんの優しさに心が温かくなった。
お昼ごろに少し食欲が出てきた。ボールのドッグフードを半分食べた。残したらママが心配するから帰ってくるまでに全部食べよう。
外ばかりみているうちに夕方になった。お兄ちゃんが帰ってきた。
「アキ?どう?元気?」
ソファの横に座ってあたしをナゼナゼしてくれた。今日は庭に出て野球の素振りもせずにずっとソファにいてくれた。あたしはお兄ちゃんの膝に顎をのせてずっと甘えていた。お姉ちゃんが帰ってきた。あたしはソファでお兄ちゃんとお姉ちゃんに挟まれてとっても落ち着いた。愛されるってこんな感じね。とっても幸せ。ママも帰ってきた。パパはママで電話をかけて来てあたしの尻尾の様子を聞いているみたい。ママはパパに「まだ垂れ下がったままよ」と話していた。
今日は一日ほんとに元気がなかったけど、みんなの優しさのおかげでとってもリラックスできた。明日はモモちゃんに会いにいこう。