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「あたしは柴犬のアキ」31

 次の日モモちゃんがやってきた。モモちゃんはあたしの話が聞きたくてうずうずしていた。

「アキちゃんはこのお家に来る前は誰と暮らしていたの?」
「あたしはね、のんちゃんと言うお姉さんと暮らしていたの。その時の名前はさくらだったの。のんちゃんは一人暮らしで寂しかったからあたしをペットショップから連れてきたの。それでね、とっても可愛がってくれたんだけど、ときどき泊りに来ていたひろし君と結婚することになったの。お腹に赤ちゃんがいることはあたしにはわかっていたの。それからね、ひろし君がアメリカに行くことになって、あたしを連れて行けない所に住むことになっちゃったから、あたしを家族にしてくれる人を探したの。のんちゃんは毎日泣いてあたしに謝っていたわ。

 しばらくしてあたしを家族にしてもいいよって言う家が見つかったの。それが今の家。のんちゃんとタクシーでこの家に来て家族のみんなに会ったの。会った時からお兄ちゃんが抱っこしてナゼナゼしてくれたから、あたしもこのお家がいいなって思ったの。のんちゃんにこのお家で良いよって見つめたら、のんちゃんは分かってくれてパパに挨拶をしてあたしを置いて帰ったの」
「アキちゃんをいきなり置いて帰ったの?」
「そうよ、そうなのよ。その時は良かったけど夜寝る前に急に寂しくなってきて、一晩中泣いたわ。次の夜もその次の夜も。あたしがあんまり泣くから、お兄ちゃんとお姉ちゃんがあたしをピッタリと挟んで寝てくれたの。そしたら落ち着いて寝れるようになったの。それからこの家の人たちにべったり甘えるようにしたの。みんな喜んでくれるし。今はとても幸せ。のんちゃんはどうしてるかな?あたしの方が心配しているの」
「わたしもアキちゃんも良いお家に貰われて幸せね」
「うん」
 それからあたしとモモちゃんは仲良くお昼寝をした。お昼寝から目を覚ますともうモモちゃんは帰った後だった。モモちゃんに家族の事を話したから、いつもよりみんなの事が大切に思えた。みんな早く帰ってこないかな。楽しみだな。

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