ぃよっしっ!
不慮の怪我だった。
それでもチームを支える献身もあり世界一を掴んだ。
怪我は無理出来るものではない。
先の野球人生も含めて、しっかりと回復させていかなければならない。
少し前、「まだリハビリ段階で」と親御さんからお聞きして、シートノックのサポートをしつつ、ランナーコーチを務めて、中盤から終盤での代打起用というのが続いた。
しかし代打で臨むもこれまでの積極的な気持ちも先走り、焦りというかなんだか落ち着かない様な風に見えた。
どうにかと振るバットに当たるもの飛ばせるものでなく、一旦臆すればバットが出ず。
これまでを思えば「らしくない」とも思えるものがあった。
悔しい気持ちが無いはずがない。前面に気持ちを出すタイプではないかも知れないけれど、チャンスに気持ちが高ぶり、物にすれば大いに喜ぶ、そういう姿をこれまでも見て来た。
この日の朝、「ようやく投げる許可が出ました。」と親御さんにお伝えいただく。こちらから先発メンバーかと聞くも親御さんがそれを言えるものでもないわけだけれど。
試合が始まると守備に着く姿が。
久しぶりの実戦だからか落ち着かなさがある。それはプレーの端々に見える。でも、その雰囲気も試合が進むと修正されていく。
チームにとっては欠かせないメンバーだ。怪我からの復活は誰もが待つものであり、対戦チームにあっては脅威の存在となるものであるはず。
一進一退の試合展開はタイブレークまで進む。
どんな形でも得点することが重要となる。
ここまで凡退が続くも、複数回数の打席で感触は戻ってきている雰囲気が見える。
タイブレークでの打席、しっかりと振り抜いたバットでボールをセンターの深めまで飛ばす。タッチアップをするには十分なものだった。
一塁まで駆け、三塁ランナーがホームインすると
「ぃよっし!」
ベンチへ戻る姿には握り拳が見えた。
チームのチャンスをものにした打席に、レギュラーに復帰してヒットとはならなかったけれど、打点を得るバッティングに感嘆の声が出る。
更なる高みへ挑み続けるのみ。
チーム全体の雰囲気は良いものだ。
あとは自身が納得行くプレーが出来れば結果は出る。
大輪の花を咲かせるべく。