セン君と僕のこと⑤
2022年11月17日、僕たちは地域猫(のら猫)を保護しました。男の子で、名前は「セン君」としました。(タイトル上の写真がセン君です。)
ここではセン君と僕の出会いから別れを綴っていこうと思います。今日はその第5回です。
Chapter 5 Sさんの想い
Sさんの「セン君を救いたい」という熱い想いに絆されて、僕はセン君を保護することにしました。Sさんがそこまで「セン君の保護」にこだわるのは、理由がありました。
実はSさんは、僕が3番目と4番目に保護した「レイちゃん」と「ボン君」の最初の里親さんです。2022年7月にこの2匹を捕獲したのですが、そのとき、Sさんもこの2匹の捕獲を試みていました。先に捕まえた僕に、「この子たちを、どうするんですか?」とSさんが話しかけて来たのが、僕らの出会いでした。
僕が「まだ子猫なんで、里親を探すつもりです。」と言うと、Sさんは「それなら、ぜひ、私に譲っていただけませんか?今、アメリカンショートヘアーの子を1匹飼っているのですが、多頭飼いを検討していたところだったんです。」と話しました。そこで、2匹をSさんのお宅に譲渡することにしました。
しかし、「レイちゃん」がとても強気な性格だったので、先住のネコちゃん「リコちゃん」にグイグイ行ってしまいました。気弱だったリコちゃんはストレスでご飯が食べられなくなり、とうとう吐くようになってしまったのでした。これにはSさんも困り、「申し訳ないが、お返しします。」ということで、2匹をウチに戻すということがありました。
Sさんは元々、保護猫活動に興味があり、「いつか猫を保護して飼いたい」と思っていたそうです。だから、セン君はSさんにとって「2回目のチャンス」というわけだったのです。
Sさんは「セン君はしばらくそちらの家で人馴れと治療をしてもらって、機が熟したら、リコとお見合いをさせてみたい。リコも少し大人になったので、今度はうまくいくと期待してるんですよね。」と話しました。
リコちゃんとSさんのこと
Sさんが猫を飼うことになったきっかけは、お母さまのアドバイスだったそうです。
Sさんのお母様は、おととしに亡くなられたそうなのですが、そのときSさんに「ネコと暮らしなさい。」と言い残したそうなのです。
Sさんはお母様の葬儀を終えると、ネコを見にペットショップへ向かいました。すると、そこで目に留まったのは、生後6か月の「売れ残った」アメリカンショートヘアーの女の子でした。その子は、値引きされて売られていました。
そして、他の子と比べて粗末なケージに入れられており、明らかに瘦せ細っていたそうです。Sさんは「この子は、なぜこんなに痩せているのですか?」と店員に尋ねました。するとその店員は「この子は一度、大病を患い、死にかけたことがあるんです。」と答えたそうです。いわゆる「ワケアリ」の子でした。そんな子を粗末なケージに入れて、バーゲンセールをしていることに憤りを覚えたSさんは、その場でお金を払って、ネコを引き取ったそうです。それが、リコちゃんでした。
そんな風にして、Sさんの元にやってきたリコちゃん。だからやっぱり、リコちゃんはSさんが大好きみたいです。
レイちゃんとボン君のトライアルに失敗したとき、Sさんは「ウチのリコが、こんなに繊細な子だとは思っていませんでした。半年もペットショップに居たなんて、信じられません。そうとう我慢してたんでしょうね。」と言いました。
僕はSさんに「そうですね。きっと、リコちゃんはSさんを待っていたんですよ。だから我慢できたんだと思います。レイちゃんとボン君が来て、リコちゃんはきっと『Sさんを取られちゃう!!』と思ったんでしょうね。なんか、羨ましいですよ。そういう“絆”って。」と言いました。
「そうですかね。」と言ってSさんは笑っていました。
猫と人の間にも「嫉妬」とか「独占欲」ってあるんだな、ということを、そのとき初めて知りました。(つづく)
こういった経緯から、Sさんはセン君を保護したいと思ってくれたわけです。明日は、セン君が我が家で過ごした1か月のことを書きたいと思います。
↓第6回は、こちらから。
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