「わたしもできるよ」@3歳児によるお手伝い
ある日の夕方保育。
ちょっと大人の人手が余ったので、少し時間をいただいて段ボールの手作りおもちゃを作ることにした。
目指しているのは、
四角い段ボールでつくる箱の乗り物、みたいなイメージだ。この段ボールを補強するためにこんな作業をする。
ヤマトのり(白いとろりとしたやつ)を水で薄めたものを、ペンキを塗る筆で、段ボールに塗っていく。そこに新聞紙を貼り付け、さらに糊をつけて、また新聞紙を貼る。
これを繰り返すと、ものすごい強度のある乗り物の完成だ。
で。
のりをとりに保育室に入ったところ、
「なにしてるのー?」
と3歳児の女の子から声がかかった。
げげっと思いつつ事情を説明すると、
「わたしもできるよー!」
とのこと。
「ひぇー!」
と僕の心の声。
3歳児で月齢の低い子である。
たしかにできるだろう。
しかし僕の中で浮かんだビジョンはこうだ。
床には筆からボトボトとノリが落ち、段ボールもべっとべと。
しかも、教えるのも大変だ。
あれまてよ。
教えない保育をしている。
床にこぼれたのは拭けばいいし、こぼれてもいいようにすればいいか。
「わ、わかった」
と言って、任せてみた。
僕も筆を持ってきて、一緒にやってみる。
しかしこの時は、
「教えない保育」を崩し、少しだけ教えてしまった(あとから気づいた!)
「この辺に塗ってもらっていい?」
「筆は、、、こうやってやるといいよ(ノリがつきすぎないように)」
はじめのちょっとだけは、こんな感じで伝えてしまった。自らの体験の機会を奪ってしまったか。。。
そこを反省しつつ話を進めよう。
少しだけ伝え、でも途中からほとんどその子に任せることにした。
「このへん?」
ひ「うん、いいねいいねーどんどんいこう」
この子がどこに塗ろうとも、僕がそこをもう少し丁寧に調整すればいい。
「こう?」
ひ「そうね、その辺に貼ろうか」
「あはは!」
ひ「おーくっついたね!」
ノリを塗り、新聞を貼る。
新聞貼りもその子に任せた。
貼り方は豪快だが、
あれ。
僕が貼るより効率がいいぞ。
彼女は2、3枚同時に貼り付けているが、
僕は1枚ずつ貼っていた。
気がついたら、いつのまにか
僕よりも上手いくらい安心して任せられる自分に気がついた。
__
こういうとき、いつもそうだ。
「手伝うよ」は、ありがたい。
だが「最終的には余計に手間がかかるだろう」という思考が働き、「やだな…面倒だな…」と思ってしまう癖が僕にはあるようだ。
それでも、やってみる。
やってみると、案外何の問題もない。
そんなことばっかりなのだ。
「やってみたい」「わたしできるよ」
に対して、
「えー、これは大人がやるよ」
などと答えがちだけど、そうすることで
"やってみたい"
という意欲を削ぐことにもなる。
そして今回の場合は、"自分で考えてやってみる"を少し奪ってしまった。
ちょっとしたことかもしれない。
でも、
僕がちょっと教えた上でやったことと、
全部自分で考えてやってみたこととでは
子どもたちが味わう喜びや満足度、
達成感がまるでまるで違うのだ!
今度こそは。
全部子どもたちに任せる。
そう決めた出来事になった。
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