今日も運転しなかった 第11回
昨日、とある放送局に映画のシナリオを送った。
レターパックは便利である。A4用紙110枚、十分に入る上、料金も切手より安い。晴れ間を見て近くのポストへ持っていく。一人娘がいよいよ上京する感じだろうか(パパとは喧嘩したけれど)。
部屋には2冊の本がある。どちらもフィルムアート社刊で決して安くない値段である。『SAVE THE CAT 本当に売れる脚本術』、『感情から書く脚本術 心を奪って釘付けにする物語の書き方』の2冊だ。
一体、なぜもっと早くに読まなかったのだろう。そう後悔する間もないくらい、夢中に読んだ。映画シナリオの実践において、これほど目が鱗となる本もなかなかない。
2冊ともハリウッドの最前線で働く書き手だ。ブレイク・スナイダー氏とカール・イグレシアス氏。私にとっては頼もしいコーチである。最も惹かれた点は映画脚本の構成と、そこにある感情の込め方だった。具体例を挙げてこれでもかと紹介している。スナイダー氏は明るいアメリカン講義、イグレシアス氏はスパルタであった(厳しすぎますぜ、先生)。
ハリウッドではアイデアを売る。誰もがチャンスを持っている。なんて夢のある世界だろう。自分の無知、思い上がりもまた、ページをめくるたびに痛感した。これまで〈感情〉を意識したことがなかった。書きたいように書いてコンクールに送った経験もある。本を閉じた私は、パソコンに眠っていた落選原稿を開き、頭から書き直しを始めた(懲りない奴)。
たとえばパラマウントの重役に渡す。ドリームワークスの重役に渡す。果たしてシナリオ生存率は維持できるだろうか。星の数ほどある中、勝ち残る自信はあるだろうか。
そして110枚書き上げた今、新たな疑問も浮かぶ。
プロと呼ばれる作家は、本当にプロらしい作品を書いているだろうか。
日本映画が世界で勝負できているか疑問だった。アダム・トレル氏のインタビューを読む限り、おそらくひどい。実際に私もおかしな経験はある(きりがないので割愛)。ちなみに、実家で飲むミソ・スープは大好きだ。
誰かが、変えなければ。
幸運を招く猫がいる、と信じておこう。
(つづく)