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【回想/日帰りの沢登りや山麓飲み】

【古い写真シリーズ】

野遊びチーム野伏(のぶせ)の活動ベースは野営と沢登り。
日帰り山行の場合は、真冬以外は登って愉快な沢登りの初心者コースで遊ぶことが多かった。沢登りだけではなく打ち上げの宴会も楽しみだった。
野伏メンバーは、遊び上手が多く、面白い山麓の飲み屋を不見転で発見する嗅覚が冴えていた。

たぶん、もっとも頻繫に訪問したのは、表丹沢の主稜線から発する葛葉川本谷と、奥多摩の大岳山に突き上げるの海沢中流部。
海沢は急峻で滝の多い沢だが、中流部は豊富な水量を楽しめる渓谷。
ともに初心者向けだが、沢登りエッセンスがぎっしり詰まった大人の遊園地だった。

葛葉川は、早春の沢はじめと晩秋の沢おさめによく遊びにいった。

2009年3月、沢はじめ。昔も今も女性が元気。

この沢は、丹沢主稜線の三の塔と二の塔に突き上げるが、出合いからツメまで、直登できる滝が連続する。岩がとても硬くて、摩擦がよく効き、登って気持ちいいのが特徴だ。

岩が硬くて登りやすい葛葉の滝

中間の2本の滝以外はすべてロープ無しでも直登できるのが快適。おまけに中間に林道が横切っており、ここでお終いにすれば往復3時間の半日コース。大人のフィールドアスレチックとしておおいに楽しんだ。何度登っても飽きない。
丹沢では、ワンランク上の小川谷廊下も3回ほど遡った。小川谷も水量の多いゴルジュを突破する。磨かれた石英閃緑岩の谷は素晴らしい景観だった。大山から発する大山川もいっぷう変わった沢でゲームのような滝登りを楽しんだ。

海沢は、上流部は大きな滝が多くて難しい沢だが、中流部は水遊び天国で、真夏専門。

2011年8月海沢

「海沢行こうぜ~」と声をかければ、メンバーが喜んで集まった。行動中は水に浸かりっぱなしで、泳ぎもたっぷり。淵にザブンと首まで浸かり、全身ずぶぬれのシャワークライミングが楽しむ。毎夏、この谷をワーワーキャーキャー歓声をあげながら遡って遊んだ。この沢も、流程は1時間強。濡れた衣服は、帰りの林道歩きで乾いてしまう。淡水は海水とちがって、刺激が柔らかくベトつかないので爽快。川で泳げば子供時代に戻った気分になり、おじさんおばさんが小学生の顔になる。

2011年8月海沢核心部


葛葉川で遊んだあとは、秦野のお好み焼き屋やうどん屋で打ち上げた。当時は、よく飲み、よく食った。
海沢の場合は、奥多摩駅前の飲み屋街「柳小路」の「そば処おく」というお店をよく使った。「おく」は良いお店だったが、今はもうない。家族経営で、娘さんはヒナマレ美女。娘さんに子供が生まれたころまで知っているが、その後、わしらも山登りから遠ざかり、ここを訪ねることもなくなった。

奥多摩駅前飲み屋通り

「おく」の跡地は、「飲食処ヤナギコージ」という店になっている。もしかしたら娘さん夫婦が引き継いだのかもしれない。いずれ確かめる。

奥多摩では、奥多摩湖に近い水根沢谷、川苔山の逆川、日原渓谷の倉沢谷等でも遊んだ。
水根沢谷は、笹本稜平の連作「駐在刑事」にも登場する。この小説は、挫折した刑事が、奥多摩の人と自然によって再生する物語。なかなかいい話なのだが、ちょっとイメージの違うテレビドラマにもなった。モデルになった「水根署」は奥多摩湖のほとりに実在する。

2023年11月水根警察署

その水根沢谷、半円の滝までのショートコースだが、途中から顕著なゴルジュ帯となり、水量が多くてスリリング。面白くて、何度も訪問した。

奥多摩の飲み屋といえば「さちこ」。青梅線の鳩ノ巣駅前に小さな斎場があり、そのとなりに「さちこ」というL字カウンター10席くらいの居酒屋があった。さちこ婆さんがワンオペで営業する居酒屋だった。ここは、わが人生最高の居酒屋のひとつ。ワシらも寶焼酎の一升瓶をボトルキープして愛用していた。わざわざ鳩ノ巣まで行って忘年会を挙行したこともある。このお店は写真も残ってない。客層があまりに面白すぎて文章でも書けない。なんというか「流れ流れて奥多摩」というワケアリっぽい人たちと、第一次産業系ジモティが化学反応を起こすお店だった。さちこ婆さんも、横浜の黄金町から流れてきたらしい。人生流転を生き抜いて、奥多摩に流れついたと思われる。佇まいに独特の優しさがあり、タバコのふかし方が(フランス映画のように)妖艶だったな。「さちこ」は、残念ながらとっくに閉店。さちこ婆さんは相当なお年で、脚の具合も悪かったので引退したのだろう。まあ、そういうお店と出会っただけでもシアワセな体験であった。「さちこ開店15周年記念」という湯呑み茶碗をいただいたが流出してしまった。もう思い出しか残っていない。

以下の写真は、2011年8月の葛葉川。
3.11後の活動で、野伏とそのお仲間が、南相馬の子供たちや家族を富士山麓のキャンプ場に招待する林間学校を開催した。仲間総出でキャンプのお世話をした。そのなかで、中学生以上向けアクティビティとして有志で葛葉川遡行に挑戦。ヘルメットや沢靴などの装備を揃えて沢登りを挙行。

2011年8月葛葉川ボランティア

子供たちが大喜びだったのが懐かしい。わが人生で初のボランティア活動だったが、学びも多かったと思う。行動しなければわからないことがたくさんあるね。

2011年8月葛葉川ボランティア

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