ジェジュンのせいで惑わされた午後
醤油らーめん らーめん丸富＠広尾
今日は、恵比寿と広尾の間くらいの位置にあるスタジオでの編集作業。開始は午後からなので、昼飯を食べてからスタジオに入る。何食べようかと考えて、ふと思い出した。
もう１０年以上行ってない「丸富」だ。僕はここのつけ麺が大好き。恵比寿のラーメンブームを牽引したちゃっちゃ系代表格の「香月」出身の店主が出したお店だけに、背脂系のらーめんが看板メニューなんだろうけど、僕はつけ麺しか食べたことない。
丸富のつけ麺は魚だしの和風つけ麺。
流行りの魚介豚骨つけ麺とは同じ魚介を使っていても対極にある。味の方向性としては「やすべえ」のスープにちょっと近いか？ つけ麺としてのパンチは弱く思えるけど、結構しっかりと節が効いたさっぱりめのつけダレに、太めの平打ち麺をつけてすするとこれが旨いんだなぁ。
イメージ的には稲庭うどんを食べてる感じかも。だからさっぱりめな和風スープが妙にマッチする。
関係ないけど、僕はコシの強い讃岐うどんよりも、断然稲庭うどんが好きだ。というかうどんの中では稲庭一択と言っていい。だからうどんの名店とか僕はあまり惹かれないのかもな。
よし、今日の昼はそれだ！ １０数年ぶりの丸富のつけ麺！
丸富は十数年の歳月を超えた今もあの時と同じ店内だった。そりゃそうか。入口近くのカウンターに座って、つけ麺を注文する。
「すみません、今、つけ麺やってないんですよ」
「え？」
まさか夏限定とかになったのか？ それ以上、返事ができずに口をぱくぱくさせていたら、僕以外には一人の先客しかいなかったが、その先客が辛味噌らーめんを食べながら、僕と店員のおばさ…、いやお姉さんのやりとりを聞いて、にやついていた。
僕はカウンター上の看板に書かれたお品書きに目を向ける。すると、確かにつけ麺が書かれていた部分は黒く塗りつぶされていた。
「え～、ま～じ～で～！」完全につけ麺をすする気分だったのに。
いっそお店変えようかとも思ったけど、お店が混んでいれば出ていくのも悪くない選択だけど、客一人しかいない中でお目当てがないから出ていくのも忍びない。仕方ない。
「醤油らーめんください」
注文をしてからふと壁に目をやるとカレーのセットの張り紙がされている。丸富のスープで作ったカレー。普通なら頼んでしまうところだけど、落ち込んでたからそんな食欲はわかない。
細麺だからか、注文客が僕一人だからか、らーめんはすぐに出てきた。
ちゃっちゃ系の懐かしいビジュアル。香月もこんな感じだったっけ？
スープを一口飲んでみる。
旨い。ちゃっちゃ系ってこんなに上品だったんだっけ？
以前、亀有の「たいせい」というちゃっちゃ系のお店のことを記事に書いていて、その時も昔ながらのラーメンながら上品さがあるって書いたんだけど、味わい深さや背脂の甘みの加減とか鼻を抜ける感じとか、段違いで丸富の方が旨い。今までつけ麺しか食べたことなかったから知らなかったけど、そりゃあ香月の流れなんだから、らーめんが旨いはずだよね。しかも、香月って（もう忘れちゃったけど）麺固め、味濃いめ、油多めとか二郎とか家系みたいな注文方式で、なんかこういうふんわり優しい味というよりも、ニンニク入れて硬め濃いめでみたいな、それこそ名前が似ているチェーン店「花月」みたいなパンチあるタイプだったような記憶なんだけど。もしかしたら香月と花月のどっちも行ってたからちょっとごっちゃになってるかもしれない。
あと、久しぶりに食べて思い出したんだけど、チャーシューがべらぼうに旨い！ 通常のらーめんだと１枚しか入ってないので、今更だけどせめてチャーシューメンにしておけば良かったなと後悔。なんならカレーも頼んでおけば良かったか？ とも思う。
いやー、思いのほか旨くて満足！ 知らなかった美味を知れて最高！ 次はチャーシューメンとカレーも頼もう！
一人だけいた先客はでていき、また新たな客も入ってきた。で、その新たな客２名は二人とも辛味噌らーめんを注文する。
ん？ そういえば先客も辛味噌だったな。もしかして、この店のスペシャリテは辛味噌らーめんなのか？
スマホで丸富を調べるとジェジュンとかユチョンとか（どっちも知らない）韓国スターが辛味噌らーめんを激推ししているらしい…。
せっかく満足したのに、なんだか失敗してしまったような気分になる。いや、美味かったからいいんだけど、なんかね。辛味噌食べてみないと納得いかない気分になっちゃうよね？
満足したのか不満足なのか、微妙な感じで店を出た。
最後に微妙な思いを抱いたせいか、やっぱり、つけ麺が食べたかったなぁと思ってしまう。
と思ったせいで、今度はなんか「やすべえ」のつけ麺が食べたくなってきている。あと、昨年の秋に秋田へ行ったのだけど、そこで稲庭中華そばのお店があった。「稲庭」で「らーめん」。めちゃくちゃ気になるじゃん！ だから、めちゃくちゃ入りたかったのだが、時間が合わずに結局いけずじまいだった。なんか、その稲庭中華そばというのも今更ながら、気になって気になってしょうがなくなってきた。
なんだか美味しいものに巡り合って満足したのと同時に、より枯渇を感じるという珍しい気分を味わいながら、そろそろ時間が迫っているスタジオへと歩き出した。
くっそー！ 帰りに、何か広尾か恵比寿でリベンジマッチしなければ！ と僕は夜に何を食べようか？と歩きながら考え始めていている。