『あひるの空』全51巻振り返る32巻
こんばんわ!なおとです。
「あひるの空」全巻振り返り!今回は32巻です。あひるの空が「ただのバスケ」漫画ではない、と表す1冊です。社会問題にまで切り込んでいきます。一緒に振り返っていきましょう。
1巻からの振り返りをマガジンとしてまとめていますので下のリンクよりどうぞ。
今回も下記フォーマットでやっていきます。
1.本巻の注目キャラクター
2.連動して読むならこの巻
3.深読みするためにもうひと押し
IH2回戦が始まる。対戦経歴のある霞川崎高校。しかしスタメン、ベンチ含め3年生の姿が居ない。雄一の2年「牧野」のDFが空を苦しめるーーー。
1.本巻の注目キャラクター
32巻のピックアップは「牧野智弘」です。
初登場は意外と早く23巻で少しだけ登場しています。この時は自分よりも身長の低い空が3Pを決めているのに驚いている名も無きキャラでしたが、まさか32巻で再登場するとは。地味な顔なので忘れていた人も多いのではないでしょうか。
彼の特徴は何と言っても守備力の高さ。高速のサイドキックと柔軟な体重移動を駆使した圧倒的なフットワークで試合前半完全に空を抑え込みます。
序盤からのハードワークにより最後まで体力が持たず空に完全に振り切られますが、DF力はホンモノ。チームが熟成していくほどその力を発揮し、空達の壁ととして立ちはだかるでしょう。
・小さくて大きな裸足の闘志
牧野のDF力は決して部活の練習で身に付いたわけではありません。彼は他の部員が居なくなった後に、バッシュも履かず、ボールも使わずにひたすらフットワークの練習に励んでいました。いや、正しくはそれしかできなかったのです。ボールが弾む音、バッシュが鳴らすスキール音、それを良く思わない人が居るから。だから裸足で音を鳴らさずフットワークだけの練習をしていたのです。皮肉にもそのおかげで付いたDF力だったのです。
牧野は3年生の部員としたメンバーに「イジメ」られていたのです。
牧野の同学年の部員もイジメが原因で退部。牧野も退部を決意しようとしましたが、それでもバスケが大好きだから辞めれませんでした。
彼に対しては3年は練習参加をさせず、マネージャーを強制させます。マネージャーとは体裁上で、ただの雑用として3年に虐げられていました。さらには顧問の先生もイジメを気付いていながらも黙認。半ばバスケを諦めかけていた牧野ですが、夏のクズ高との練習試合で空の姿に衝撃を受けます。
空とコートの上で戦うために、イジメがあろうと諦めない。彼には目標が出来たから。
”目標”ができたから、迷わなかった・・・!!
結果として新しく赴任したバスケ部の顧問の助力もあり、自身の実力を見せつけイジメを乗り越えます。DFという武器を手に入れ空達クズ高に挑む姿は心打たれますね。
学生のイジメも今でも社会問題として挙げられますが、教師もイジメを知っていながらも、見て見ぬふりでというのも社会問題として話題取りました。
その両方の問題をまさか漫画で切り込んでくるとは思いませんでした。
これこそが「あひるの空」がただのバスケ漫画ではないというのを表す象徴的な1冊です。
2.連動して読むならこの巻
35巻をオススメします。2回戦は牧野DFに苦戦しながらも勝利を収めたクズ高ですが、試合会場には彼らが。
クズ高バスケ部の初めての対戦相手、そして地区予選決勝の相手。「新丸子高校」です。まさに因縁の相手。地区決勝ですでに、県代表クラスのチームとの対戦。しかしこれを乗り越えなければIHは掴み取れません。
新丸子は大黒柱の千葉を欠き一時は失速しますが、新たな力を手に入れ再びIH出場へ猛進します。その新たな力。それは、
「千葉」です(笑)。千葉の弟が新しく新丸子に入学したのです。見るからに巨体、そして千葉よりもコワモテな感じで厳つさ倍増してます。
そして言わずもがなですが、新丸子はなんと言っても「トキワ」ですね。
県下でも間違いなくトップクラスの選手です。作中NO.1プレイヤーの横浜大栄の白石と肩を並べる程で、間違いなく全国区でしょう。
その他にも沢やチョージと優秀な選手が揃っている新丸子。激戦必至の一戦となるのが容易に想像できます。
35巻から新丸子戦が始まりますので、連動して読んでみてください。
3.深読みするためにもうひと押し
各会場で2回戦の日程が進む中で、とりわけ注目を浴びる一戦があります。それは「鶴金工業」です。世間ではバスケとは程遠い、不良学校として名をはせる鶴工です。そんな高校が強豪:玉学と接戦を繰り広げています。
そして、鶴工の中心は勿論この人。「間久見」です。クズ高との練習試合でも才能の片鱗を見せましたが、この玉学戦ではいかんなく才能を発揮します。
超越しすぎじゃないか・・・!?
ここまで言わしめる間久見の異常性が充分に伺えます。3Q をまさかのリードで折り返し、最終Qを迎えます。しかしチームの地力が出始める最終Q。玉学がチームとして強さを見せ始め、徐々に鶴工を追い詰めます。どちらに勝利の女神が傾くのか気になるところです。
さて、鶴工が試合の最中千秋にこんなシーンがあります。
遂にあひるの空に「雨」が降ります。
雨に関してはこちらの記事にまとめていますので気になる方はご覧ください。
あひるの空ち雨は意外と深い関係性があるので、雨のシーンに注目しながら読み進めるのも楽しいですよ!
32巻は「イジメ」という社会問題に切り込んだかなり考えさせらる1冊です。あくまで漫画的表現なのでリアルと乖離があるでしょうが、それでも勇気のいるストーリーだと思います。だからこそ読む価値があります。
次の33巻は鶴工vs玉学遂に決着です。一緒に振り返っていきましょう!
それではまたお会いしましょう。