「時すでに遅し」になる前に
【気付かないと手遅れに】
体には壊れても「戻るもの」と「戻らないもの」があります。
戻るものは修復力があるもので、例えは筋肉。そもそも筋肉痛も微細損傷と言われているので、常に損傷することを想定しているので壊れても戻ります。
同じく皮膚。軽い傷は治りますね。爪や髪も皮膚の延長ですから、伸び続けるように成長し続けるものは壊れても戻ります。
戻らないものは、、、軟骨、関節円板、靭帯などの損傷。
軟骨は壊れた程度によっては、完全にストレスをかけない車椅子などの環境に1年ほどおけば回復されますが、現実的に日常生活をしている以上は難しいでしょう。
関節円板は、膝では半月板として有名ですが、場所によって血流の分布が異なり、血流の乏しいところでは回復が難しいです。
靭帯損傷は、ご存知の通り、急性期に適切な固定と安静を行わなければ元通りになる事はありません。捻挫が癖になると言うのはその為です。
関節が変形して膝が曲がってきたとか、背骨が曲がってきたなど加齢とともによく出てくるものですが、この状態では上記の壊れても戻らないものは残念ながら戻りません。
変形性の関節疾患はたくさんあります。
変形性股関節症、変形性膝関節症、変形性脊椎症…。
変形は突然やってくるのでしょうか?多くの方は突然痛くなったと言います。気がついたら関節が曲がっていたと。
変形は突然やってくることはありません。
日々のストレスの蓄積に耐えられなくなった時に出てくるので、出てきた時は突然ですのでご本人は突然という表現をされます。
ボクシングのボディが徐々に聞いてくる感じですね。はじめは耐えられても徐々に蓄積されるともう耐えられないとなる。
事故などの外傷と異なり小さなストレスは日頃気付きにくいものです。また寝ることである程度修復されますから若い時は特に気になりません。ですから多くは中高年になった時に顕在化します。
つまり変形するほどまで多くの人は気づくのが遅いのです。「時すでに遅し」です。
【小さなストレスの積み重ね】
交通事故やスポーツ事故などの外傷でなければ突然関節が壊れることはありません。
多くは「障害」といって徐々にかかる小さなストレスの積み重ねによる崩壊です。
そして多くは前兆があります。
それは、違和感や、軽い痛み、こわばりなどです。動かしづらいという感覚で感じることもあるでしょう。でもこの前兆は小さいので、徐々に慣れてしまい放っておく人が殆どです。
そして、徐々に関節は崩壊し、もう筋肉や柔軟性では対応できないところまでくると慢性的な痛みや力が入らない、関節が抜けるような感じがする、歩けないなどの機能障害として表に出てきます。
歯科分野と似ていて、虫歯で痛みが出ている時点で神経まで達しているのでもう手遅れ状態というのと同じです。
ですから予防の歯磨きが重要なわけです。
でも関節について同じように予防という発想はほぼ一般にはないでしょう。
実際は虫歯となんら変わりません。
予防運動療法は予防歯科に似ています。
日々の歯磨きが重要なように、日々の姿勢や歩き方が重要なのです。自分の体からの声に耳を傾けて、違和感などの前兆があれば予防運動アドバーザーやFRPインストラクター(ミドル以上の資格)のアセスメントをお勧めします。