【側弯トレーニング日記】装具療法のメカニズム
側弯症の保存療法は、「運動療法」と「装具療法」が両輪で行なっていきます。
装具療法について、型にはめて骨の変形を無理やり真っ直ぐに戻しているという印象の人が多いと思います。
装具療法のメカニズムについてもう少し理解を深めると、その意義と価値が見えてくると思います。
まず、装具で操作しているのは、背骨そのものではなく、肋骨や骨盤そして腰椎などの外側から触れる部分です。
脊椎は内部にあるので、直接触れて操作はできません。
この外側から圧迫と徐圧を基本として体を動かして、その結果として背骨つまり脊椎を動かしているということになります。
脊椎は、動いたからといってすぐに形状が変わるとかいうことはありません。
脊椎の成長は遺伝的であり、また重力を基本とした環境因子によって決まっています。
装具で姿勢を矯正することで、脊椎にかかる重力ストレスを変え、それが脊椎の成長に対して変化を与えることが修正のメカニズムです。
また、大切なのは脊椎だけではありません。
もっと重要なのは椎間板です。
特に腰椎などは椎間板の変性によって、変形が固定化されます。
椎体そのものの変形は少ないことが多いです。
椎間板の内部には、髄核というグミ状のものが存在して、それが真ん中に位置するので高いクッション性を持っています。
しかし偏った姿勢を取り続けていると、その髄核が左右へ移動してしまいます。
ヘルニアの発生メカニズムと同じになります。
真ん中のクッションが左右へズレたら、その上下の椎体は髄核と反対側が倒れるように圧縮されます。
これが側弯のメカニズムです。
特に椎間板に高さのある腰椎側弯に当てはまります。
ですから、装具はこの髄核を正中化しているのも大きな役割なのです。
23時間という長時間装着しないといけない理由がここにあります。
装着時間はジリジリと髄核を真ん中に戻しているのだという意識がないと、多くの子どもは継続的に装着してくれません。
このメカニズムを理解して、しっかりと装具を装着することが必要です。
また寝ている時は重力ストレスがないため基本的に必要ありませんし、同じ理由で装着は寝て行います。
立ってしまうと重力ストレスの負荷の中でつけることになるので修正が大変です。
装具について、以下の点を理解して装着したいですね。
装具は椎間板の髄核を動かすためのものなので長時間必要となる。
装具の装着は重力ストレスがない寝た状態で行う。
運動と併用することで、装具を外した時の戻りと予防する。
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