【臨床日記】短期的な視点と要因一つだけで結果を考えるから因果関係が分からなくなる〜脚長差について〜
脚長差について今回は7ミリで側弯症に移行したであろうケースを経験しました。
6歳から14歳までかかった病院では誰も脚長差に気づかず、何も対応してくれなかった方です。
僕の中では衝撃です。
レントゲン上でも明確に脚長差が確認できてもです。
普通の方々には異常に感じるかもしれませんが、医学の世界では3センチ未満は無視できるというのが一般的です。
理由は、3センチ未満は代償によって歩行スピードも酸素消費量も変わらないからです。
じゃぁ1センチ差を作って毎日生活してみろよって普通思ってしまいますが、、、。
医療の常識はある意味で普通じゃないのです、、、。
歩きのパラメーターに異常が出ないから3センチ未満は無視できると。
直接的に問題が顕在化したものが異常であって、代償でなんとか顕在化させないようにしているのは異常にならないのが医療です。
とても短期的な影響しか考えていないのです。
代償は長期に渡ると骨の変形まで影響を与えますが、そのような長期的な研究はありません。
時間がかかるからですね。
膨大な研究費をかけるような事象ではないのでしょう。
命に関わる様なものでなければ、医療として本腰を上げることはないというのが本音でしょう。
それがどれくらい多くの変形や障害に関わって、引いては医療費の負担につながっているか分からないのに、、、。
まず大きな問題は脚長差の研究者に長期的な視点を持っている人がいないということです。
縦断的な研究は確かにしたくないですね、、、。
もう一つ脚長差の問題が世の中に問題視されないのは、脚長差という単一の要因で即何かしらの異常値を探そうとすることです。
脚長差があっても問題が出ない人もいますし、問題が出る人もいます。
そこには、その人の他の属性が関係しているはずです。
この場合、多変量解析、中でも重回帰分析やロジスティック回帰分析が必要です。
しかし、脚長差に関してそのような研究はありません。
物事の関係性というのは、多くは多因子です。
単一因子のみでは決まりません。
ウィルスという単一因子で風邪になる訳ではありません。
罹患者の免疫の状態や体力、季節や温度などの環境因子など多様な因子が重なるから風邪として発病します。
ウィルス自体は毎日のように人に付着してます。
付着したから直ぐに風邪というようにはなりません。
これが普通なのですが、研究となると、突然単一因子で因果関係を証明しようとしてしまいます。
ほとんどの研究が、健常成人の足の踵に徐々にインソールで高さを増していき、先程のような歩行速度や酸素消費量などのパラメーターに異常が出る高さを調べています。
でも、脚長差が子どもに起こっていたらどうでしょうか?
成人と同じ高さで考えていいのでしょうか?
筋量や筋力の差は?
身長との関連は?
姿勢との関連は?
腸骨と腰椎の関係は?
このように、多様な因子によって、脚長差が大きな顧客の歪みにつながることがあります。
普通の感覚ならば代償の積み重ねが問題になることは分かるはずです。
歯を磨かないと直ぐに虫歯にはならないですよね。
でも歯石が蓄積すれば虫歯になります。
問題は、長期的にどうか?なのです。
また、歯石が溜まっても虫歯になりにくい人がいます。
それはエネメル質などの強さが個体によって異なるからです。
唾液の量も関係します。
脚長差も同じく、同じ高さの差があっても、その個体の他の属性によって結果は異なります。
歯科業界の考え方であれば脚長差が問題だということは当たり前でしょう。
残念ながら、整形外科の業界やリハビリテーションの業界では脚長差は問題にはなりません。
とても困った状態ですが、誰も指摘しませんし問題提起もしませんので、僕が孤独ですが地道に訴えます。
脚長差は問題だと。