【啓蒙】親として子どもの体に対して日常的に意識すべきこと
パーソナルレッスンにいらっしゃる方の中にはお子様もいらっしゃいます。親御さんも当然同席されます。その中で、アセスメント結果や歩行動画を一緒にみながら分析の詳細をお伝えすると、「なんか変だと思ったんだけどここまでとは!」と驚かれる方も多くいらっしゃいます。
そうです、気づかないうちに子どもの姿勢は偏位したり、成長抑制が起こったり、骨格的な偏り(いわゆる歪み)が生じたりしているのです。
親として子どもの姿勢や骨格に対して、観察する、修正するなどの責任というか役割があります。
赤ちゃんの時は、保健師による検診や、定期検診的なところで助言や第三者的な観察者がいますが、学童になると中々親身になって自分の子どもの成長を確認してくれる助言者はいません。
年に一回の学校検診では足りない部分も多々あります。また学校検診にないけど重要な項目があります。
ここでは、親として子どものどんな身体的部分に注意を向けたらいいのかを解説したいと思います。
【姿勢】
たかが姿勢と思っている方は多いでしょう。不良姿勢をとっているのなら、正せばいいじゃないかと。それは大人です。子どもには当てはまりません。
子どもの骨格には成長骨端軟骨という軟骨が存在しているため大人に比べてとても柔軟で、外的なストレスによって変形して成長する特徴があります。
つまり、姿勢の崩れは一時的なものではなく、普遍的な変形に繋がっていくということです。子どもに関してはたかが姿勢ではないのです。
ではどんな姿勢に気をつければいいのでしょうか?
【猫背】
猫背には頭の前方への突出と、骨盤の後傾とが概ねセットで起こります。これによって首には生理的な前弯がなくなります。腰においても生理的な前弯がなくなります。つまり、背骨が全体的にあ丸くなっていくということです。
背骨には生理的弯曲というバネの役割をする弯曲が存在しますが、それが正常に発達できないと、将来的に腰痛や頭痛の原因になりかねません。
できるだけ、首と腰には前弯を作るような姿勢を指導しましょう。
【頬杖】
頬杖を付く習慣のある子はいると思います。この頬杖は顔面の骨を偏位させます。また下顎に関しては、咬合を不正な状態に導いてしまいます。歯並びの不正の原因が頬杖だったという方もいます。このような癖を「態癖」と言ったりします。
また向き癖は首の骨、頚椎にも影響を及ぼします。そうすると、一方向だけの向き方によってやはり下顎の偏位を起こす可能性があります。特にうつ伏せ寝などです。
頬杖はつかないように指導しましょう。
【割座、横座り】
割座や横座りは、大腿骨の頚部にある「前捻角」という角度に影響を及ぼします。この角度が強くなると、骨格的に内股になります。
当然歩く時も立つ時も内股となりますので、将来的な足のつま先の向きを成長期に決定してしまうことになりますので、長時間の割座や横座りは禁止した方がいいと思います。
あぐら、正座、椅子は問題ありません。
【寝方】
特徴的な寝方をする子どもがたまにいます。一方の横向きしか寝れない。うつ伏せで必ずどちらかのみを向いている。脚を曲げて寝ているなど、、、。
睡眠時間は数時間です。影響はとても大きいです。寝方によって骨盤の形状が左右異なっているケースも稀ですがあります。子どもは寝相が悪いくらいが安心です。決まった寝方しかしていないという場合は、すでに骨格が偏っている可能性があります。
【座り方】
座る時の基本は当然、真っ直ぐです。体を横にシフトして座る癖や、うつむいたような姿勢、体を捻っている姿勢など、真っ直ぐが保てないような場合は注意が必要です。
真っ直ぐが保てない場合は、背骨に側弯が起こる可能性があります。癖は蓄積され骨の成長に影響を与えます。学校や宿題を行うときの姿勢も数時間に及びます。時間の蓄積は見逃せません。
座っている姿勢に違和感を感じたらしっかりと注意して修正させましょう。
そのためには椅子やテーブルの高さや、課題の紙面の向き、鉛筆の持ち方含めて確認する必要があります。場合によっては、高さ調整などで環境を整えることも必要でしょう。
【立ち方】
休めの姿勢が特徴的であるならば注意が必要です。いつも片方の脚に体重をかけている、膝をロックして立っているなどは要注意です。
真っ直ぐ立っていられない子もいます。すぐ休みたくなる。インナーマッスルや姿勢保持筋と言われている筋群が働いていない状態では、関節に負担がかかり結局は骨格が歪んでいきます。
真っ直ぐ座ることと同じく、真っ直ぐ立っていることは姿勢の基本です。立てないなら、姿勢保持筋を活性化する必要があります。
【簡単なチェック方法】
自宅できる姿勢の簡単なチェック方法を紹介します。
①生理的弯曲
まずは壁を使った姿勢チェックです。壁を背にして、頭、背中、お尻の3点がついていて、首と腰に隙間があれば正常です。
②背骨の歪み
足を揃えて前屈して、背中を後ろから観察します。背中の膨隆に左右差がなければ正常です。
③前捻角
膝を曲げてあぐらを描くように膝を支点として回して足を持ち上げた時に、45度くらい曲がれば正常です。
④片脚立ち
片脚立ちで目を瞑って、30秒間フラフラしなければ正常です。
【対処法】
多くの不良姿勢の背景にあるものは運動不足です。走ったり、飛び跳ねたりする機能が低下しているために、人間としての本来の姿勢が取れないという状態です。
また、偏った習慣が体に癖を作っていきます。日常的な習慣の他に、実はスポーツ動作も大きく影響します。そもそもスポーツは偏った体の使い方をするものがほとんどです。
成長期の強度でかつ高頻度のスポーツ動作には気をつけましょう。できるだけ左右対照的な動きをコンディションニングやトレーニングとして取り入れましょう。
または、高頻度にならないように、成長期には偏った動きよりも走る、飛び跳ねるなどの基本的な運動能力を高めることの方が大切です。外遊びを沢山行う方が、将来的には健康的な体を手に入れることができます。
スポーツはなんでも体にいいという妄信はやめましょう。スポーツは生物的な進化ではなく、人が作った人工的な運動様式であることを忘れてはいけません。
もし子どもの体に歪みを感じたら、できるだけ早く修正するための環境の調整、またはトレーニングを行いましょう。
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子どもの体について学校にお任せではいけません。親として責任を持って骨格を確認し、骨格が歪まないように生活を確認してあげて下さい。成長が止まってから後悔しても戻ることはできません。成長期の子どもは、成長している今が人生において、体にとって一番大切な時なのです。
骨格に関しては、成長が止まる14〜16歳までは親の責任のもと、しっかりと観察し助言をする必要があります。成人式を迎える20歳は社会の大人として仲間入りの記念日。16歳は大人の骨格としての記念日が本来はあるのです。そこまで親がしっかり骨格を確認してあげましょう。
多くの親の意識が変わることを体の専門家として、そして子を持つ親としても祈っています。
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