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元型(ベーゴマ考84)
「バリ」ってなんや?
さきほど、
井出先生に
あいかわらず
関西バイの写真を送りつけていた時
「これ、バリの幅や太さを見比べると、違いがありますね。関西のは細いバリが多いような?」
「ん?バリってなんや??」
バリってなにかというと、
鋳造の時の溶けた金属の道と繋がっていた部分
木でいうと実につながる枝の部分
ベーゴマ本体側でいうと
「ヘソ」とかよばれ、
少しでっぱりがあるところだ。
昔の子の一部の子は、ここが大きく出っ張ってたりするものを、攻撃力が強いとして重宝したともいわれる。
東西でなんかちがうのかな??
これをみてほしい
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157114435/picture_pc_385ee2fa24ee5067c184fe1cfd055f95.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157114424/picture_pc_c05400b2977884a8978d86086912718d.png?width=1200)
これは、郷土資料館にある
日三鋳造のベーゴマの金型と
できあがったばかりのつながっているベーゴマ
つまり、関東の作り方では
コマとコマが繋がっているので、
ものによっては左右に繋がっていた名残「バリ」
がある。
また、コマの辺と辺が繋がるので「バリ」が大きい傾向がある
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157114724/picture_pc_a57be0fe92597852d0c1c3567083ab8b.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157115079/picture_pc_a3dc6f06f0b125e611555c6d626fc91c.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157115413/picture_pc_60b79153ca799786c9e47619b2cb332d.jpg?width=1200)
関西はどうなのか
まず、わたしがもっている
関西のベーゴマの金型を見てみよう
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157112939/picture_pc_c7b39dc158f5e0ed7b241b55da7af455.png?width=1200)
なんというか…葡萄だ。
確かに関東の鋳造方法とは異なり。葡萄みたいに繋がっている。
そこで井出先生がさけぶ!
わかったかも
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157117717/picture_pc_b186cd99d07dd5f8fb081b7cbb24cae3.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157117725/picture_pc_638b8102528f2c513aeff7a7f6d91e01.png?width=1200)
井出先生がみせてくれたこれは
大阪歴史博物館の常設展示らしい。
大阪城の横や
難波宮のとこや。
何度も見てるのに、ぼーっと見てんじゃねぇよってチコちゃんに怒られるやつや。
なるほど、
確かに似てる。
葡萄状だ。
小物を鋳造するときの
やり方が関西と関東で異なるのかもしれない。
関西のバイ型は金属製
今まで15年くらいでベーゴマの型がオークションに出たのは計3回
全て関西バイの元型だ
1度目は8個が同時に出た。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157112904/picture_pc_0e4684b2ce1a2569d468b279a2ba9db0.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157112935/picture_pc_2d07d805f075004341b1ec53f35dce64.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157112920/picture_pc_29bd1437542f1963f28dc33f9df6db04.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157112916/picture_pc_034cf13862273d60037cb9be962d8961.png?width=1200)
関西バイは葡萄のように、鋳造する。
一度で大型の場合は26ヶ
小さいものは34ヶ
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157127160/picture_pc_294dbe2f1aff5097caa4e25378bf1d76.png)
こうしてみると
「バリ」になる接合部が小さいことがわかる。
バリの違いから見えてきたこと
なぜ、関西と関東の鋳造方が違うのか。
ここで思い出されるのが
辻井社長に初めて会った時に聞いたことだ
「元型って存在するんですか?」
『昔は木型やったから、人気がなくなったら薪にして炉にくべたのでありません。』
関東は木型であった可能性が高い。
川口の木型組合のホームページによると
江戸時代末期から明治にかけて
菊造という職人が基礎を築いた旨がかいてある。
わたしたちの知っている知識を動員して仮説を立ててみる
やはりベーゴマの発祥地は関西で、
はじめ真鍮バイは貝独楽のそのめんまのかたちなので土型
もとは富本銭や和同開珎の鋳造にはじまり、長年の経験と技術の蓄積があって、職人がいたことで、鋳物のバイゴマを作られる時に応用した。
関西の鋳造法だと
枝の部分が多く、一度に量産できない
それが関東に伝わったときに、「一度に大量につくりたい」という願いと、それを実現できる木型職人がいて、ベーゴマが木型に変わった。
ベーゴマ同士を隣接させることで一度に54ヶできる。一方で隣接したとことを切断するのでバリは辺となり大きい。
あくまで仮説であることを追記しておくが
バリの形で関西と関東で異なることは事実であり、これからも調査を継続していく
(それぞれの鋳物協同組合にきいて、作り方の違いを確認する必要がある)
バリで見分ける
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![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157128843/picture_pc_e316812a47729718967159737d32b578.png?width=1200)
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![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157128807/picture_pc_3446116fb3ab5abe7ab3c73ba32aaf21.jpg?width=1200)
関西バイの「バリ」達
辺でつながっていたら、木型=関東流
細い棒状だったら、金型=関西流
こんなこと、考える人
たぶん今まで思いついた人、いないかも?
というか
井出先生と一緒に考えないと見えてこないことが多い。
もうそろそろ
「ベーゴマを通してみる日本の歴史」
という、超絶マニアックな本が2人で書けるw