幻の「のらくろ」(ベーゴマ考68)
戦前のこどもたちの人気者
「のらくろ」は、
田河水泡の作による日本の漫画作品である。
黒犬の野良犬黒吉、通称のらくろを主人公とする。
しらべてみると
『のらくろ』のキャラクター創造のヒントがフィリックスであった旨を晩年のラジオ番組で明らかにしている
アメリカが黒猫で
日本が黒犬
なんだか不思議な関係性だ。
大日本雄辯會講談社(現・講談社)の雑誌『少年倶楽部』にて昭和6年(1931年)から16年にかけて連載された漫画で
「のらくろ」は日本の漫画の黎明期の作品として高い人気を獲得、鉄腕アトムの手塚治虫、
サザエさんの長谷川町子(田河の弟子となった)などにも大きな影響を与えた。
のらくろは犬の兵隊さんであるが、当初は実際の兵役と同じく2年で万期除隊予定だったが、漫画の人気がすごかったため、志願兵として入った「のらくろ」は出世して、階級もあがっていく。
漫画のタイトルも
のらくろ上等兵
のらくろ伍長
のらくろ軍曹
のらくろ曹長
のらくろ小隊長
のらくろ少尉
のらくろ総攻撃
のらくろ決死隊長
のらくろ武勇談
のらくろ探検隊
と階級があがっていく。
1941年に内務省から「戦時中に漫画連載なんて不謹慎だ」と指摘が入り、打ち切りになった。
人気の時は子ども達の戦意高揚につかわれ、
都合よく打ち切りになったのは
そこまで心の余裕がなくなっていたのかもしれない。
のらくろ玩具
人気は漫画作品にとどまらず
子供向けの商品にも次々にのらくろが登場した(ただし著作権の法律が確立されていなかった時代だったので、ほとんど原作者や出版社の無許諾商品)。
ここでいう、子ども向けの商品には
無論玩具もはいっている。
わたしがもっていた「のらくろ」は
一つだけで
これ「地雷」と判断できた
1938 国内向けの金属(ブリキ)玩具製造禁止
「投下弾」が全国的に流行
このころのものだと思われる。
太平洋戦争が1941年からなので、
その直前のもののため、アメリカ側の
ベティやミッキーとのらくろが描かれている
振り返ってみると、
これはかなり貴重なのではと思う。
コレクターがいると値段はあがっていくが
そもそも火薬玩具コレクターとかいるのだろうか。
逆に「のらくろ」コレクターはいそうな気がする。むっちゃあるから。
一冊でいいからのらくろの漫画がほしい。
幻のベーゴマ
何度か「ベーゴマ考」でも書いているが
幻のベーゴマと思っているものがある
※現存を確認しているもの
第一位…真鍮ベー(明治中期)
第二位…のらくろベー(戦前)
第三位…ガラスのベーゴマ・ペロペロ(戦時中)
第四位…東富士(富士が山のイラスト)
第五位…面バイ各種(戦前)
おかめ・ひょっとこ・狗・力士・ヘルメット
第六位…ヘルシンキ五輪の競泳5名
第七位…力道山三文字
未確認のものは、
大毎と中島であろうか
実際には
もっと
実在数が少ないものがあると思うが
コレクターがいないと
その価値もあがらない。
のらくろべー
さて、幻に挙げた
「のらくろべー」
かなり高価であることで有名であるが
オークションに出たのは
ここ18年くらいで3回ほど、
ほとんどが加工されているため
綺麗な状態はほとんど見たことがない。
そんな「のらくろべー」を…
落としてしまった。(落札)
今までで一つの物にかんしては、
型に次いで高い。
今回落とした「のらくろ」は
裏に若干の加工跡がある
いままで、みた「のらくろベー」は
全て、8角形であることから、
元の形が8角形であるといえる
そして、今回裏面を見ると
ベーゴマ特有のバイ貝の貝の跡である「渦」ではなく、同心円状であることがわかる。
同心円は関西七角バイにある形である
そして、よくみると、のらくろベーは
赤いインクで着色されていることがわかる。
これは
販売時の元の色なのか、
それか加工者が付けた色なのかは不明である。
が、このインクの付け方もまた、
関西べーによくあるものだ。
関西7角は赤や緑の色が特徴的でもある。
製造年を考察する
さて、そうなると問題がひとつ
この「のらくろベー」が
いつ鋳造されたものかである。
日本玩具文化財団の年表によると
1932
メンコ、かるた、双六など「のらくろ」玩具流行
ブリキの宙返り飛行機の大ヒット、金属玩具大量生産のきっかけとなる
とある
そのころにつくられたと思われるが
『角』がある。
元々の、バイ貝の丸型が
子ども達の貪欲な「勝ち」へのこだわりと
鋳物になったことで
やすりにより加工ができたことにより
子ども達が丸を角に加工されたことで、鋳造過程での「角六」が成立したとされる
その要因は、昭和初期に流行した桜べーなど
さまざまなものがあるが
関西はかなり早い段階で
5角や6角がある
年代は
のらくろブームを考えるとやはり
1932年ごろの鋳造と考えることが自然であろう。
後ろ側の同心円の特徴と
インクが当初のものであれば
関西製かもしれないが
角型であることからは
関西製か関東製かはわからない。
キャラクターの形を鋳造しているのは
関西ベーである面バイの一種と言えるかもしれない。
現存する
現存する中で
実物が見たことがあったのは
愛媛の岡本さんのもので
しかも、この岡本さんの
「のらくろべー」は
半端なく鋳造レベルがたかい。
これはやばい。
鋳造の細かさがしっかり出ていて、
何個鋳造されたかわからないが
木型なりがつくられた
かなり初期のものであろう。
目や耳、髭の穴まで完璧だ。
昨年会いに行った時に、
岡本さんは
「なんぼになってもいいから落とすべし」
という落札指令を出していた。
なんということだ
ぜったい勝てないやつw
そもそもいつも思うが
落札の金額を上げてるのは
みんな仲間内という説w
この負の連鎖はどないかせなあかんw