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【僕たちは母を介護する】-43「久しぶりの面会」

御袋が転院してから10日がすぎ、久しぶりに面会に行くことにした。
転院前の病院より近くなったが、感染症などを考慮し面会は遠慮した。
御袋にもその旨は伝えてある。

それでもこの10日間、いろいろな事はあった。
まず、市役所から身体障害者手帳ができたとの連絡があり、すぐに取りに行った。
そして、ストーマ業者に連絡し、今月分から補助金対象になるように手配をしてもらった。

市役所に行ったときは、高額療養費について質問をした。
これは、病院で高額療養費に該当するかもしれないから確認した方がいいと勧められたからだ。
しかし話を聞くと、既に対象となっているため、これ以上の返還金などはないとのことだ。
高額療養費とはどういうものか調べようとも思ったが、無いなら仕方ないと思いそのままにすることにした。

ストーマ物品の到着予定日についても連絡があった。
「ご自宅でいいですか」
と言われたが、
「C病院へ直接配達できますか」
と尋ねたら、大丈夫とのことなのでお願いした。

転院前のB病院から、入院証明書ができたと連絡があったのでとりに行った。
ほんの数日前まで何回も通った道だが、何か懐かしく感じた。
信号が赤に変わり交差点で止まると、角地に建物の壁が見えた。
B病院へ弟と行っていたとき、
「何ができるんだろう」
と話していた場所だ。その時は基礎工事をしていた。

入院しているC病院からも電話があった。
「バスタオルが不足しているので、持ってきてほしい」
とのことだった。
B病院の時に使っていたものを渡していたが足りないのか?と思ったが、必要なら仕方ない。
近くの衣料品店でバスタオルを購入し、そのままコインランドリーで洗濯・乾燥してから持って行った。

文字にするとそれほどのことではない。
また、1日でこれだけのことがあったわけではなく、2~3日に一回だ。
しかし対応の移動時間や弟たちに報告など付随することもある。
それでも、B病院へ通院していた時に比べると、余裕のある10日間だった。

C病院に着いた。
面会は15分間だ。
ナースステーションで受付を済ませると、広い談話室のようなところに案内された。
病室は4人部屋のため、感染症の関係で入れない。

しばらくして、車いすに乗った御袋が看護師とともに入ってきた。
挨拶を交わし、看護師は出て行った。
椅子に座り、私は
「調子はどうかな?」
と尋ねた。
「少ないけど普通のご飯を食べたよ」
声は小さかった。でも、はっきりした声だ。
頷いて聞いていると
「ご飯を食べる時、ボトボトとこぼしていたんだけど、前にいるおばあちゃんが、私もおばあちゃんだけど私の方が少し若いように見えた。まぁそのおばあちゃんが綺麗に食べるのを見て恥ずかしくなった。それから綺麗に食べるようにしたよ」
「そっか、慌てずにゆっくり食べるといいよ」
「入院代とか大丈夫?」
「あぁ、今のところ大丈夫だよ。皆、頑張ってくれているけど、早めに退院してくれると助かるかな」
そう笑いながら冗談を言うと
「そうだね。来年の春くらいには退院したいね」
と笑っていた。
あと最近は、亡くなった親父や飼い猫の夢は見なくなったらしい。
前の病院ではしょっちゅう見ていたようだ。

時間になり看護師が入ってきたので、
「外は寒くなってきたよ。ここは快適だからよかったね」
というと、
「うん、暑くもなく寒くもなくていいよ」
と言い、
「あ、肌がカサカサになっているので、今度来るときにクリームを持ってきてほしい」
と言ってきたので、
「わかった。また来るね」
と言って手を振り、看護師から洗濯物を預かって部屋を出た。

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